研ぎたての包丁に理性という鍵をかけて 玉ねぎを細胞ごと壊している
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せめぎ合う横綱相撲かもう少し踏ん張り効かせ挑めよ小兵
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解約のページぜんぜん開かないみんな解約したい月末
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釣り人が川で釣り竿振る季節光のキラめき川面を揺れる
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惨めだと思っていたのは自分だけ次の彼女が現れるまで
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催事場各地の駅弁取り揃え売り子の声も張りを帯びたり
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雷鳴の轟く季節ももう時期か夏雲の下雨を避けつつ
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珍しい熱帯魚らを水槽の奥に眺める水族館で
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木犀の花が咲くのはまだ先で夏のシャワーも待ち遠しくて
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なんだかなやる気出ないな学校はもう一度だけ気合入れるか
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だらしなくアイスを手にして二つ三つきらめく光の公園行くか
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いつまでもピュアでいてねと思いつつ君と別れた時の切なさ
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みんなみの斜面の木々は一様に雪根開きを見せて明るき
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何倍も でかい水溜りも海に 勝つことできない 年功序列
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百均ダイソーの売場にすだれ並んでた先週は雪降っていたのに
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ムスカリが庭にぽつぽつ咲き始め俄然感じる春の訪れ
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「うまそー」と呟く私に「行ったら?」と ボイコットだからとは言えなくて
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明日からは何の肩書きも持たぬ私がいます 歩いています
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春風に乗って漂う風船よどこへ行くのかどこまでも行け
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春雷のとどろく新しい土地で人もほのかに電気を帯びる
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かまぼこの 板に描かれた 絵模様は 幼き日の夢 今蘇る
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筆置けば 広がる世界 かまぼこ板 小さな海に 夢を託して
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色重ね 形を与え 生み出すは 小さな宇宙 かまぼこ板に
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かまぼこ板 絵筆走らせ 想い込め 世界に一つだけの 宝物なり
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乾くのを 待ちながら見る 絵模様 思い出映す 懐かしき日々
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筆運び 心のままに 色を置けば かまぼこ板が キャンバスになる
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絵の具箱 開けば広がる 色の世界 かまぼこ板に 何を描こうか
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木目の香 筆に託して 色重ね 小さな海に 夢を浮かべる
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ほほがあかく腫れてしまったこれだけがわたしが春をきらいな理由
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かまぼこの 余白に描く 夢模様 子供の頃の 宝物かな
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