近頃はひとりを好む私だが君の「みんなで」には敵わない
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かせ付きの両の手脚を引きずれば 別のかせ付き 青い芝生で
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回送の暗い電車は乗らせないまるで私の心のようで
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上向いてサークルモッシュするときは熱気が空に舞い上がる時
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ホトトギス 昔からある 聞きなしを 何度も唱え 旅暮れなずむ
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蕎麦啜り一人思うは遠き日の家族の形そばにいてくれ
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草を取る それが目的だけでなく 季節や命 感じるために
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パソコンの 画面が出ないと 友の電話テレ ダメもとの指示 強制終了
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いつの日か この痛みさえも 薄れるか 父の遺影に そっと手を触れ
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幼き日 怖れし父の 大きな手 今は冷たき 土の下なる
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許すまじ そう誓いし日も 今は昔 ただ淋しさだけ 胸に残れり
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面影は 時と共ににじみ ゆくけれど 心の奥に 怒声は響く
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血巡りを詩的に浸せば言葉澄む それで生き易くはならないあはれ
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仏壇に 並ぶ写真に 問いかける 二人の声は どこへ消えしか
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梅雨近し 早朝あさの散歩は お休みだ さてその時間 どうして過ごす?
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追うように 逝きし祖母の匂い 残る部屋 父との記憶 薄れゆくかな
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病魔にて 痩せ衰えし 父の顔 遺影に残るは 元気な頃か
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あの日々を 悔いるは遅しと 知りながら 語りきこと 今は亡き父
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痛みには医療麻薬を使うけど 梅雨あめは地獄だ、早く過ぎ去れ
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憎みしか 愛しか分かたず 父の死は 静かに我を 置き去りにせり
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怒鳴りし日 過ぎしと思えど 遺影には 穏やかすぎる 父の顔あり
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袖口が まとわり付いた Tシャツを アジサイの風が 吹き抜けていく
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梅雨まえの 房を整え 夏支度 チョキパキパキと シャインの散髪
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軽鴨の子が生まれたという写真 撮るのは母で保存は父で
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はみ出さず真っすぐ踏めた足跡を集めて僕を作りたいのに
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放物線を描くハイチュウレモン味 ペリカンが食っても大丈夫なの!?
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前線の影響強く土砂降りの横浜流星浴びてみたし
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入梅ついり前 露天風呂に 蜻蛉とんぼの姿 羽化をも早めをる 温暖化
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エビフライ定食待つひとときに天気予報聞く私の梅雨明け
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緑濃き朝の公園桃色の夾竹桃の花咲き初めり
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