体重が乗っていない言葉を自由帳の余白に殴り書く
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未来過去生き死にだけを考えたモラトリアムは永遠に夏めく
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寝ちゃったし トイレに行くの めんどくさい 誰か代わりに 行ってきてほしい
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世間では枯れた花でも構わない咲かせた人が一人でもいる
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心臓を掻きむしりたい悔しさも灰になったら誰も知らない
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あの人はこうだったわと喋りだす苛立たせたい熟女ジェラシー
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共通の知り合いなどは時として知りたくなかった事まで話す
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お局の小言の雨が降り注ぐ異常気象にはちょうど良いのか
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金曜日土日どにちの飯をまとめ買い目覚めて気づくあ、三連休
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ビルドくんなんでも作るビルドくん橋とか橋桁あとフィナンシェ
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苦しい蔓 めきめきと天 横たわり 大仰ですね ようやりますね
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二十三じゅういち時タルトタタンは六時間前のねぷたに縄文の赤
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マックからドトールになりスタバ経てルノアールにてコーヒーを啜る
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もうすべて なんくるないさーと放り投げ ただ寝落ちへと全力全開/今日もくたびれたあー
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帰宅した母の香りは中華そばバスの中でも汽車の中でも
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ポケットをのぞいていたら警察が穴からわたしをのぞいていた
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甲子園 負けないように 一試合 すべてをかけて 明日につなげ
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「宇宙って青色なんだ」もう少しだけでいいから信じたかった
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「好きなやつ選んでいいよ」冷凍庫のぞけばバニラ、バニラ、バニラ
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弁当をあける からっぽ どうしよう、夫のやつだ 夫のやつだ
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雲間より おぼろに浮かぶ 満月が 乱視の我は 繭っ子に見へ
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涙か 雨か 曖昧な雫は 涼風に紛れ、消え
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洗濯を干し切るまでが旅なので二泊四日目の延長戦
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空色の あなたの放つ 誘惑に 心が削られ 一番星に
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御神木に代わり観光客乗せて森林巡る赤沢トロッコ
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生焼けの あなたの肌と 生地の中 こんがり色の たぬきの春
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自らの"好き"を閉じ込め昇華して "大切"にして アナタに渡す
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不思議だったどこまでもついてくる月今夜私をじっとみつめて
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里帰り実家の近所の御婦人の深掘りの問いは無きこと願う
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駒ヶ岳ロープウェイで千畳敷気温十五度の天国に着く
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