弁当をのぞく時弁当もまたこちらをのぞいて「いただきます」
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合歓の花咲くときポンと音がする電車の中であなたが言った
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思い切り叫びたかった十六の僕はギターを弾きたかった
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どこまでがきみなのかな 内臓のない抜け殻を愛し続ける
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からふるな形が浮かぶ消えるしてきっともうすぐ眠るんだろう
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おむかいのマンションの明かり眩しくて真っ暗にならない部屋 眠い
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星に太陽が含まれないように特別な名で呼ばせてほしい
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靴落とし橋に体重をかけて飛べないんだよ落ちるだけだよ
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しあわせ、だ サイズも合うし似た色の愛を持ってる人に出会った
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もしきみが死んでもわたしはずっと好き 通りがかりの花だとしても
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きみが飲んだ酒の瓶を持ち帰る 花瓶になって紫陽花が咲く
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雨降ると徒歩で来るきみと一緒に帰れることを期待する季節
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まだ夏は始まらないで 夏を始めるときはきみと迎えたいから
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少しだけ涼しい今日と思いても温度計には三十二度だと/感覚バグった
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の岸に通じる電話あったらと 声が聴きたい話がしたいよ
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焼きたてのコロッケパンを買いに行く 娘も吾もおいしいにおい
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蔦の葉に雫光りしあの朝を思ひ出すなり 母の命日 /三回忌
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好きなのはピーチのフラペチーノじゃなく、 君だ、君が好きだったんだ。
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湖と海とを分ける砂州に咲く花々を愛で自転車を漕ぐ
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バニラビーンズと目があうバニラアイス 背中はまかせた言わずもがな
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青空も入道雲も手の平に光った赤もすべて君の色/ドラえもん短歌
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ネズミがね横断歩道を渡りかけ クルマに気づいて戻っていったよ
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お盆の日にだけ食卓賑わせる 私がご先祖様だったのか
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背伸びして 掴み取りたし 夏の雲 立ち働いた 夕暮れの街
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人間を残念な生き物と言う勿れ だって僕たち人間だもの
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飯事ままごと白粉花おしろいばなの 色水を コップにそそぎ カンパイのまね
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お買い物? 何を買いに? と問はれたら 夢を買いに、と答えるだろう
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歌にして飲み込んでしまいたい気持ちに限って言葉行方知れず
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チューバなら低いしここでも聞こえるね七時間目に二人分け合う
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わざわざと電車を乗り継ぎ喧騒へスマホ開いて「落ち着いたカフェ」
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