爆ぜた春石の下に住む虫の数それ以上に死す思い出の数
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図書館へ予約の本を取りにいく からだがちょっと上下にゆれる
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短歌とは孤独の一部をあてがって言霊にする営みである
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小さなる箱を手にしたラスコーリニコフをあおる顔なき声よ
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唇が ひび割れ渇き 痛くなる リップを塗って 保湿しなくては
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あどけない寝顔を直ぐに起こしたい 聖夜零時にプレゼント置く
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昨晩の余ったチキンを頬張れば私のイブはまだ終わらない
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風呂上りポカポカしてる湯上りに 身にしみいる寒さ冬至かな
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男2人女1人の三兄弟なのに髪の長さ全員おなじ(ボブ)
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いくつもの出会いと別れと再会をutakataここでも味わい今年が終わる
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いつもよりゆっくり歩いてくれてるの他の人ともこうして歩くの
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クリスマス チキン煌めく イブまでは 一夜明ければ 在庫セールだ
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子供きらい 待合室の金切り声への苛立ち 一生授からなくていいなにも奪われたくない
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花を追い ひととおり イベントこなし たつを見送る 用意だアーメン
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売れ残りケーキを年齢としになぞらえた二十五歳か昔は早婚
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錆びついた故郷の外を知ってなお時折よぎる寂しさがある
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クリスマスソングもリースも今日いっぱい 明日からお正月一色となる>商店街もスーパーも
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行きしなに 野良ニャン見かけて 帰り道 また居ないかなと ゆっくり歩く
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こちら側のどこからでも切れねーし事も有ろうに眼に服に跳ね
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目に映る 赤や緑は灰色で 乗り込む電車は 通勤快速
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クリスマスイルミ瞬く街角の年越しするや銀杏いちょうの黄色
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甥っ子が膝に抱えた虫かごは車内に芽吹く夏休みの種
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初対面意気投合し話すうち自己紹介が自慢話に
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ふくらんだ赤い靴下 ひざ抱え見つめています光の中で
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OSを友分途(UBUNTU)に変へし三台の医師脳ともども喜寿を迎へむ
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なんとなく メリクリって寝た夢は 全指詰められ斬首の聖夜
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大盛況のオープン初日夢に見て銀行辞めて脱サラ寒い
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短いの似合ってるって言ったのに伸ばしちゃうんだ振られた気分
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日の出前 あかく染まりし 東雲しののめ  笑顔が戻る 時を待つ…冬
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大人所帯年中行事なイブ感をかもし出さんとシチューにケーキ
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