きみが押すコバルトブルーの自転車はきみよりわたしの歩幅を知ってる
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前方に桜が咲いている気配 咲けど散らせど瞳をつかむ
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来年の春のぼくらに逢いにゆく少しは酒に慣れただろうか
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散歩せず休肝日だった昨日で倍歩かぬ今日呑むは倍なり
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あの頃と 同じ緑を そのままに 若葉に漏れる 淡い思い出
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頑なに青いと憂うきみ連れて両手に花で渋谷行こうよ
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かみさまの子どもが僕らでままごとをしているのならと 許せるかクソ
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肉塊にこころが詰まっているせいで見えないものまで窮屈になる
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古物商みたく遺骨に触れてから鳴るオープンザいのちプライス
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革命を 人の心に 起こすには トップを変える 他にあるまい
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学校が 戦前と似た やり方を 今もしている 朝ドラを見て
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変態と 罵られても 仕方なし 子供相手に 威張る大人ら
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改革は 遅々と進まず 犠牲者は 累々として 屍晒す
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春風が誰かの匂いを運ぶからもう全部捨ててしまおうかな
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身に余る喜びよ毒にならないで いつか流す血を惜しめるように
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苺には五千円まで使えるよ春には春の贅沢がある
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白昼の 代わる代わるの 暦読み 流れる川の 混じる岸辺と
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余裕無き日に安らぎをもたらすは色の効果か見頃の桜
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距離バグな二人が並び歩いてる付き合ってるか誰も知らない/癖短歌
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手荒れせぬ親ゆずりらし指先にハーブの香りのクリームをぬる
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地震かと思ったでしょう係長が貧乏揺すりしてるだけだよ
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桜色薄茶の里を塗り替えて棘々の心を丸くしていく
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むらさきの藤棚淡く 風薫る 天然のシャワー うつくし世界>友人の写真より
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もう二度と見ない聴かない読まないと知ってる物で我が家は埋まり
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英会話習い続けて三十四年、飽きもしません進歩もしません
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故郷が遠く去りゆく青春は、 友の笑顔と甘い初恋
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味気なき独りの夕餉つと済ませ本を友とす静か過ぐ夜に /夫飲み会
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台所窓越しの塀猫歩くいつも奴には驚かされる
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桜夜風に揺れながら聞く君が知ったばかりの神の数式
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文庫本続きを読まんと手にすれば栞落としてぺしゃんとなりぬ
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