昨日こそ時雨降りしか紫香楽しがらき外山とやまの笹を霰打つなり
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君はまだ ネイピアガール 葉桜も蝉も 銀杏いちょうもクリスマスでも
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人生の エンドロールに 君の名を 大きく僕の 名前の横に
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思惑が一致をすれば停戦す死んだ子どもは生き返らない
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東向き勤労感謝の小休止朝焼けを見て握り飯食う
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復讐がまた復讐を生む戦いに、何の意味があるのだろう
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少しずつ、深まっていく秋の色、鮮やかな赤に、寂しさ見え隠れ
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玉かぎる 夕靄ゆふもやおきし野らの海 すすきのびて尾花色をばないろなむ
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真面目なら それでいいのか その仮面 話はあうが 手応えがない
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眞日長まけながく 問ふ人のなく渡らへば 思ひのしてかすかなりけり
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かたさよし あまさひかえめ このましい てまえママレード ゆず十二個分
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をりくなる律儀な女の暮らしぶり泣き明かしつつ縷々かたりをり
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をりくとふ五文字を五句の先に置き穴埋めのごとく折句を詠まむ
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花の色はうつりにけりなと詠みし小町。ふるとながめの掛詞そへ
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序詞や枕詞にみちびかるる和歌の仕掛けに演技さへみゆ
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「言葉による演技」とふ渡部氏の説にならひ三十一文字にて演じてみせむ
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小春日にベランダカフェの椅子あらひ小屋に収めて雪にそなへむ
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『100分de名著』にちなみ実践す吾が健生塾では『スマホdeナッジ』を
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初雪に甘さの増ししプチトマト、ひび割れせしもランチの皿に
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氷雨ふる薄暗き庭をながめつつ温き書斎で読書三昧
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十一月十一日の初雪とは今年も津軽は大雪なるか
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ゴミ袋 しばってみれば もくようび ごみはだせない 勤 老 感謝日
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「苦しいよ」声のする方振り向けば うつぶしている熊のぬいぐるみ
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生菓子を好きで食べていたいのに 何にも味も感じられない
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つかれたね、つかれちゃったね、繰り返しているだけあっ醜いんだね
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崩れかけている洗濯物の山 もたれて眠る西日が温い
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散り果てていつか世界になるのならそのひとかけらをどうか私に
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コンビニを 一歩でたら 冬枯れの 冷たい小雨 空をみあげる
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輪郭を 忘れた月がかしげてる しっとりとただ濡れている土
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「あんたの噛んだ爪がほら浮いてるよ」 母と私と 細い三日月
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