時も凪ぐ夜更けの海を眺めやる一人称を棄て去りながら
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ひとの名を忘るしもつき机上にてミニカーいちだい消息を絶つ
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あこがれた人だったけどそのひとにあこがれてないことがわかった
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あこがれた夢から醒めてほんとうにしていく日々に転じて
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愛すべき衝動よこの胸を突き抜けて地平線の彼方まで
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毎日を暮らす推力は得たが、あこがれのない大人になった
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恋愛をたしなむ程度がこじらせて 見知らぬ景色遠く鐘の音   
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なめらかに明日を閉じる指先をいろどるプラスチックブロック
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ハワイより地獄の方が近いからなんとか君の手を繋いでる
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二条城うぐいす張りの廊下なら侵入者さえ楽しませたか?
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予報では明日未明から雪らしい 東京で聞く故郷の天気
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病みてなお『星月夜』には光あり 孤独の、黄にあこがれたのか
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性別欄『女性』の前に「かわいい」とさらにその前「とびっきり」(笑)
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我が胸を開けばきっと柘榴のような君への愛、雪崩れるでしょう
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歌謡祭 テレビが映し始めたら 今年も終盤 気を引き締めよう
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贅沢は言わないからさ 死ぬ時にぁ、ねこ十匹に囲まれたい
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「恋の予感」意味はわからん。でもでもね、気持ちはわかる。綺麗な予感
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半世紀前のことですボックスの受話器を上げた初恋記念日
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色づいて 気づいた柚子の 実はたわわ この手さえぎる 棘は鋭く
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静かなる さざ波の音 砂の音 地球の声が 聴こゆる島よ
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再会は 思いもよらぬ 時にある 元気な姿 見れて安堵
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冬はいいね 泣いて沢山鼻をかんでも寒さのせいにできる
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「おはようございます」ディナーバイトのホールには 不自然なあいさつ
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魂をフォトショに売って人生で初めて笑う私の遺影
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ウォーキング 友と出くわし歩を緩め おしゃべり散歩となるも楽し
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帰りつき 駆け寄るわが猫にオヤツやり 母は はちみつゆず飲みホッコリ
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母耄碌しをさなごを呼ぶ黄昏に死をつれきたるその長じし青年
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岩窟の母うらわかくふたり仔の遊びに微笑まふ偽家族
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あには羊の頭ををとうとはあにのかうべを擁きぬ 聖母子画
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ロッテリア クーポンのホットチョコレート 毎年憧れ 憧れでおわる>近所に無い
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