日向ぼこ温々ぬくぬくしたいああ寒い積雪備えに嫌気いやけさしつつ
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美しき 可憐なきみは 口元に 薄紅のせる 微笑残して
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地続きの 国境接す 国々は 油断をすれば ウクライナになる/お題「国境」
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苦しいこと 一晩寝れば ぱっと忘れる リーダーになる 大事な素質/お題「ぱ」
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ぱっと言えば 阿吽の呼吸 ぱっと答える 二つで一つ 理想の夫婦/お題「ぱ」
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「この中に犯人が要る!あなただ」と俺を指さすトンデモ探偵
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旋盤やワイヤー加工機、成型機 油が香る私の顧客(伯耕さんへ返歌)
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三月は数字合わせに奮い立つ 営業マンの哀し本能
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冴返さえかえる 弥生の雪に 冷えつつも 春を告げたし オカメザクラは
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無理してたスリムジーンズあきらめて こりゃ楽ちんやストレート履き
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切り花の なでしこの蕾 つぎつぎと 咲き方を 伝えるように
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心臓の 鼓動に合わせ 夜が明ける 静寂の街 有明の月
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このあとの予定しばらく考えるポツカリあいた靴下の穴
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読んできた本のすべてでつみあげたぼくのこころを守る城壁
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授業中はみ出してきたとなりの手「りょう空しんぱん!」習いたての語
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薄っすらと舗装に雪を残しつつ雲越しに見るお日様ギラリ
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身悶えをするほど辛いタイカレーいただく前に正座一礼
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患者さんをペイシェントと呼ぶが形容詞の「我慢強い」を知りてか知らでか
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耐えて勝ち運を逃さずドラフラのいいね決勝進出ビール
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初めてよ ここまで綺麗に 食べる人 嬉しくないかも フライドチキン
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店内で春の定番ソング聞く冬のしこりのほぐれゆくなり
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あなたかな わたしが先か 悶々と 送り残るなら 送られたい
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揺れうごく十五の花を吹き散らす鬼の裁きぞ選抜試験
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笑顔なくただ真剣にひたむきな若い女将の髪がほつれる
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すれ違うそのたびごとに「こんにちは」声かけてきた屋久島の子たち
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夢うつつ 膝上まどろむ愛猫の 慌てふためく春雷の音 
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二十年以上だろうなここにいた電子レンジが逝ってしまった
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何食べる何食べたいか言ってくれ何でもいいと言うが食べない
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振り下ろす鉈で端から少しずつ削られてゆく睡眠時間
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心臓の 音で揺れる首 赤信号 静かに歯車となって待つ
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