鍵型に指を掲げて花びらを愛でる少女の姿麗し
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容れられぬ生もまた良し容れられぬ生を静かに生きおるきみに
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人生の不参加組と肩揃えぼくときみとが歩き出す夢
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六年の 努力が実り 桜咲く 吾子の健闘 吾の奮闘
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天使無き翼無き身で忍苦するきみは無事にて過ごしてますか
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春の日の陽光浴びて歩廊ゆくあたかも大事あるが如くに
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ぶん殴る月が綺麗でぶん殴る幸せだけれどうんぶん殴る
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午前診終えて帰らん 鶯の初音はつね渡れるもりを抜けて
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行列が できるラーメン屋で 腰を 抱かれた君と すれ違う午後
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学舎まなびやを最後となれる女学生 和服に袴で華やぎの笑み
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雪解けて道幅広くなった帰路春を思えど不馴れな景色
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このくらいの寒さがちょうどいい 坊主頭は気温センサー
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遠かりし 近き隣人 今遠く それにつけても 早期復興
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早蕨さわらびの摘む時期学べと父の言ふ桜のさかりがもっとも良しと
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春が来て 人は移ろい 空き地のみ それにつけても 早期復興
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通夜の帰路 故人を悼むかの如く 青白く優しく照らす月
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怪獣をパパに任せて暗闇でポテチ貪りママは落ち着く
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通話越しの 寝息に、わがままな僕は 寝て欲しくなくて 「おやすみ」と言う
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満月や煙草吸う間に少しづつ 角度あげたり1センチ1センチ
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喜びの森がゆっくり増える日に累乗している互いの砂漠
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久々に使うPC更新の波波波に溺れそうだよ
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なりわいのいたづらなりぬともがらを 慰みのぼれ花待ちの月
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替え玉を頼む間合いを見計らう麺のかたさに迷いはないと
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改札で 別れ惜しんで 手を振れば 君も振り向き 手を振り返す
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亀の背に乗れるヤモリを想像す ホッコリ光景 utakataをかし
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友人の 投稿見つけ 返歌する 歓喜の声に 顔がほころぶ
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端的に事実をいふと私には生きることそれ自体がつらい
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鉄道も 絶えて久しく なりにけり それにつけても 早期復興
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墓参りみなで行こうと云ってくれ心華やぐ昼下がりかな
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今もなお幾つも幾つも忘れない子どもの頃の母の言葉を
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