南天のさそり座霞むほど 光り放つ黄色い月 重なりぬ
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雫さえ 今堪えれば撃ち抜ける ロングトーンに色が付いた日
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今日はもう 今日じゃなくて明日だけど 明日の私は今日の私だ
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仕分けして痛みを散らすアナロジー 気付けど傍に私は居ない
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不器用で 同時進行 できぬ吾 マイペースでも 良いかと笑ふ
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君からのハートひとつで救われる夜があって無自覚でいいね
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自己嫌悪、白いブラウス着たはずだ。来る人がうつす真っ黒な羽根
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吾もまた直ぐに忘るるあれやこれセオリー通りと返す誕生月
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五時すぎに 街の音なく 夜明けて ぬるき風だけ 葉ずれを立てる
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被爆者の祈りに辛苦のさらにますノーベル賞にも嘆く鐘の音
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何かしら 良い事ないの?と 君が問う むしろこちらが 聞きたいくらい(同人誌「ねこのあしあと」〜子供の体温〜より、七首目)
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夏花火 夜空を焦がす大輪の 色とりどりに光を放つ 
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吐き出したい事は全てをぶちまけて また歩みましょ 全て受け止める>我が朋友ともへ、そして、短歌友うたとも様がたへ‥
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恋文は 可燃性でも 恋心 不燃性なの 焼いても 残るの
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シャボン玉(五)けんけんぱ 隣の正面 鬼はだれ 夢に消えれば 風化する街
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シャボン玉(四)何も出ぬ 消えた赤灯知らせ葦 きっと私も明日には忘る
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シャボン玉(三)制服が積み木を崩す歪さと 見るに触れ得ぬ本当の事
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シャボン玉(二)曲がる背と 変わる足先交差する 渦巻く赤と進む人々
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シャボン玉(一)撫でる手に 手錠が掛かる朝八時 鞄に揺れる家族の写真
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老いと死を想像するだにぐるぐるとこわくて眠れないときのうた
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こんなにも汚ない我から出る怒りことば 許してくれるあなたに感謝
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あす病院一日雨の予報には一日泣きたい空を思った
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運命では絶対にないわたしたちの限りなく奇跡に近い偶然
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字も読めるようになったね宇宙規模広がっていく君の世界だ
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ミンミンと鳴き叫ぶ声置き去りに地面にて眠る八日目の蝉
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澄きとおる水面みなもにゆらぐ浮草を枕に眠る鯉ベタ愛し
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なぜ見るの? その目が気になる 数分で うっかり恋する 通勤電車
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水筒を洗う指先じっと見る 君に触れたのもこの指だと
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絶対に 入れてはならない 黒い奴 納豆パックは 放置厳禁
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灼熱と月の巡りが引き金でネットスーパーおもんみてみる
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