次の孫は、長月に運んで来てくれそう、さぁ準備開始だぁ
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子は酒を「のまない」と云うまぁいずれ苦味を知っての人生だから
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なぜおれに「いいね!」がつかぬ「表現者の利己主義」といふ言葉がうかぶ
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「自尊心」「傍観者の利己主義」ストンと落ちた高一国語/芥川龍之介『鼻』
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訪日のためのメニューが国民に示す万博「まずしい国」と
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名より実とって㈲の字とり個人適格でない請求書くる
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よい歌はさびしい人の代弁者ホストが歌うかなしみの夜/『ホスト万葉集』
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3Dパズルと思い隙間なく積み込む業務用エレベーター
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どーでもいい話のディテール細かすぎ大事な話はいつも駆け足
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ほらあそこ キミが指さす 先を見た 雲間に浮かぶ 銀色の船
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捜すのに 疲れ寝転ぶ 丘の上 舞い散る花に 風を見つける
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うそつきな あなたが言った さよならを うそだと思って 聞いていた夜
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憐れみの 心を捨てて 生きるより 愛に殉じて 死を選ぶべし
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ささやかな 思いやりこそ 人間の 尊厳たるや 守るべきもの
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刻々と 時は流れて 状況は 変わってゆくが 人は変わらず
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雨に耐え 余寒にも耐え 散ることもなく 待つ桜 晴天のもと
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明け方に結論が出てファミレスを出ればふたりはひとりとひとり
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「さよなら」と何回言えば春終わる言うたび心の鱗剥がれる
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前線が迫る桜も他人ごと寒い朝夕白鳥の声
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鳥鳴けば今朝は晴れてる西の山白が輝く青冴え冴えと
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桜みちさちの門出を寿ぎてトランプ震を尻目に満開
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春来れば花見て歩き鳥飛べば空見て歩く幸のささやか
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毎朝を ニューバランスの ステップで 東へ向かう つまを見送る
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春告げる 庭に顔出す水仙の うつむくような可憐な姿 
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喜寿すぎて昭和50年と記されし保険医登録票をコピーするなり
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妻に手を出した男にそっくりな身分証明書を拾い、今
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死にたいとぼくは思っていなかったきみに触れるも、しかし透明
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1日に3回以上服薬し腹を壊した、あなたのウソで
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きみはいつ気付いてくれなくなるんだろうわたしがあえて残した誤字に
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階段を一つ飛ばしで駆け上がる背中にぼくは見たんだ夢を
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