幼き日 めざまし時計 のど自慢 お昼ご飯は 袋ラーメン
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手遊びでまだまだ遊べる私なら幼心と別れないでしょう
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足元に ねこのぬくもり ねむくなる イブイブのご飯 春雨尽くし
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公園の枯芝に降る朝霜の静けき白で始まる一日ひとひ
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そういえば 声は忘れて しまったな 笑い顔なら 思い出せるのに
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コロコロと 余りし柚子を 水洗ひ 遺影の父と 柚子割り焼酎 
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笑い合う「夫・息子親子」の会話子守唄 ほっこりしつつ眠りに落ちる
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金色の 光幾筋ひかりいくすじ 漏れさすは 樹魂じゅこんの爪弾く 琴の糸なり
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おにぎりの梅と昆布を二つ買う今日はホットの緑茶を追加
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冬ざれの野にふりかかる粉糖と赤い実似合う 甘くない朝
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逢ふことの 揺れぬ恋路の 今日なれば 二人の世、夜には かかる罹る、懸かる雲無き
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あの世こそ みなの末後の 行先よ 月の光も 終ぞ届かぬ
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プリンター年末だけは忙しなく八十五円に込める「おめでとう」
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名も知らぬ愛する誰か夢に見た 枕に染みる輪郭のひと
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いってきます 鍵握りしめ 笑いながら ドアを開けたら 何か変わるかな
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肉まんが 温まるのを 待つあいだ 何もできない それでいいのだ
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人生がもし一本の映画なら今の会話はポスクレにしよう
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クリスマス 予報は生憎あいにくの雨天 翌夜は居間で 聖夜を祝ふ
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暗闇に吾を連れ去れ地下鉄よ もう帰れないほどの遠くへ
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遠い町見知らぬ街に吾を置き 地下鉄はただ走り去りゆく
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希望はあくまで希望 さようなら残念無念 どうぞ消えてね
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ドアを開け夜気を吸ひ込み地下鉄は 百足のやうに節をくねらす
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黄昏たそがれに一番星もまだ見えず 三日月すがる爪痕のやう
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午後六時 教会の鐘 鳴り響く 聖夜を前に 子らははしゃいで
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わたしってねたみひがみそねみのごんげ? 人の幸せ喜べもせぬ
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友人がばあばとなりぬ嬉しそなLINEを見れば妬ましくって
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喜んだふりして要らぬカレンダーを貰うも恒例行事となりぬ
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戸を開けるここぞとばかり猫たちが駆けるすり抜け戻る出てゆく
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本日のアドベントティーは カモミール もうちょい寝ろと いふことらしい
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「お母さん寒かったね」と初雪をかぶりし母の墓を拭いぬ
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