幼さが捨てきれないからラインの通知貯めてちょっと満足
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どこまでもまっすぐ伸びる君の意思 地球の丸みで空へと逸れる
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今我の手に触れた風は止まらずにどこの誰かの頬を撫でる
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自転車を倒しうずくむいつか人殺すかもおれ助けて欲しい
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少しでも抵抗したい Pairsを「ゲーム」という名のフォルダに押し込む
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ヒペリカム 夙に知りては 悲しみは 続かぬことを いまも信ぜり 
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あの頃は透明だったきみとぼくシンプルライフすっかり馴染み
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午前二時 誰かの救いに なりたくて 気づけば僕が 救われていた
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落ちてきた声に見上げてよぎり行く鴉一羽を見る月の夜
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静けさや 音に乗り込む 隅の水 諸君が水を ぬぐうまで
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懐かしき秋刀魚の美味は大人びて 苦かりしワタ えも言われずして
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秋 散ってゆくようで手を伸ばすけどまだここになく、もうここにない
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感情は 気づかぬうちに 環状となり  とどまることも いつしらで
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目が覚めて月の明るいカーテンの外をよぎって行く影を見る
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愛してる、そんな陳腐な表現で 総括される人ぞ虚しき
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若くして死んだ叔母と私の名が一字違いで勝手に背負う
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わたしだけまだあの時のスシローの駐車場にいて 初恋は死ぬ
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韻踏めばラップを先取り千年も けん玉だって「KENDAMA」だからね
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わたしたち大人になってもまたここでカゲプロ縛りのカラオケしようね
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白線を睨みつけつつ一歩引く多分誰かに背中押される
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いろとりどり光集めし金平糖 ときめく気持ちは幾つになっても /嬉しい差し入れ
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秋ミョウガ 採取遅れて 花が咲く 薄紅のに 白き羽衣
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果てのある土地を支える象たちに 宙の形を聞いてみたらば
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月のかさおぼろに虹の色見えてウォーキングのごほうびとなり
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密室に横たわる安眠知らずの男の涙は不透明
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腸は殻 カレーが身となり明日もまた はばたく虫は年一の羽化
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梅田駅 食堂街の たこ焼き屋 一坪立ち飲み 渋い空間
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ハリネズミのように棘を立て人間のしがらみと隔絶したい
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がきの頃 言われて嫌だったあの言葉 今は息子に同じ言葉を
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久しぶり再現VTRに出る女優を好きになる病気
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