何者になれなくてもね いいんだよ あなたはあなたを生きればいいの
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夏の空 眺め意識は いつの間に あの日の君の 横にいたのか/r 
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一日を(掃)き出してなお腑に落ちぬ 言の葉の屑 紡いでみている
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グーグルが言語の壁を崩しても ありがとうだけは口で言いたい
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猫の髭 俄に擽り泣き笑う 柔い心臓真横の隙間
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3秒で再会しました プッチンは ミニの子なんで飲むも同然>ねこだまり様😸
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鍋蓋を盾にし作るミートソース石礫いしつぶて浴び痕残る腕
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人間は口があるから喋るので口が無ければ黙っていられた
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運命の 一〇〇〇日前の夜のこと 誰かと過ごした映画館
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向かい風 不意に不時着 夜黄金やるこがね 髪をかき上げタッチアンドゴー
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歯ブラシを動かしながら見る天井奥歯はとくにていねいにみがく
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穴空いた靴下を見て自らの苦労を思う妻はあくびを
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パッと見はコミュニケーションできるふうなれど氷河をあるくわれなり
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炎天の人気ひとけ無き道 颯爽と熱唱残し自転車のゆく /『天体観測』お上手でした
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新しくタオルをおろしバス停で汗をぬぐうと風は涼やか
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まな板のごときノートに横たえた生々し言葉さばいて短歌に
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はじまりを 胸に刻みて 抱き合えば 幕開けは 私らの舞台
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甲斐バンドサーカス聴いてオフコース来生たかおに岩崎宏美
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わかりあうことなく寝息たてるひと 深い眠りにつけますように
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すのままの髪をうしろに漕ぐそばで車両も眠りし夕色のまち
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ダージリン飲み頃はかる砂時計 へっていくけどふえていくもの
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まごころが耳に反芻するばかりかき消せるのはタイピング音
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微炭酸メロディにほね溶けてゆく一人の朝をいわうはずだよ
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施餓鬼会の 塔婆かついで 墓参り 線香くゆって だれぞが先に \心当たりがないがありがとう。ははの新盆
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炎天に 蝶追いかける 子らの声 永遠とわに響けと 切に願いし
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眠ってる あなたの膝の わんぱくさ 愛おしくって 愛おしくって。
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掴みたいものはだいたいこぼれゆく 吊革だったらすぐ掴めるのに
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塩コショウ砂糖と並ぶその隣シナモンが「俺を使え」と言ってる
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帰途の空仰げば 旅客機は西へ 反射す夕陽の光を
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つくつくぼうし影法師 風鈴、風鈴! おれのために鳴ってくれ
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