母さんはもう父さんの妻じゃない父さんの愛は家族に無いよ
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人間は文明創ったそのために猿より平和に生きて行けない
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真夜中に漕ぎ出して行こう行き先は 分からないけど遠くが良いね
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人類の終わりに幕引く流星の 燃える尾をただ焼き付けて夜
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好きだった歌手は最近愛だとか言い出してから聞かなくなった
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雪かきの道具は隅に追いやられ関東平野のホームセンター
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そっと、そっと、ささやいて  もっと、そっと、ささやいて  そしてさざめく、あなたのせかい
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故郷を 一人離れて 幾年か 寂しき日々も 宴の肴
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この世には目には見えないものもあるわかった気がする花粉がそうだよ
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人生の 終い方まで 手本する 看取る我らの 最期まで父 
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次の日は休みだからと遅くまで残業する冬の金曜
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ひるからは ベッドでぴったりよりそって 君たち 双子のニャンコのようね
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これ以上 下がらぬ気がする 298ニーキュッパ 春キャベツ そっと明日のメモに
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氷河溶けフィヨルドに注ぐ水の音 どこかで聞いたせつないメロディ
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あれこれと 弟の声 騒がしい 離れて気づく 無いと寂しい
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悲壮感被害者意識に酔いしれて 安全弱者の高み見物
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あの頃は遠くに見えた青い空  今は窓辺に狭く切り取る
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イヤホンの音量上げて誓う朝だれかの言葉に負けないように
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先輩の訃報が続き愕として 具体性帯ぶ己の黄泉路
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変わりなく身は独りでも魂を孤立させては愛の芽出ない
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群青ぐんじょうの そらしゃを引く 白き雲 君のまといし 羽衣はごろも
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さよならを言い切る前に目の奥の星が砕けて流れて消えた
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吹き抜ける北北西の風街灯に 小雪うつって消えておや猫
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あのころは私の前で僕だったきみがあの子の前で言う俺
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わたくしが原点Oを出発しあなたに重なる時間求めよ
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悲の斜面見る人も無し黄昏の世の片隅の幸福論かな
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義姉からの蘭展の絵は色冴えて白一色しろひといろの私のもとへ
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痛ましい悲愴な顔のエイリアン人の世恥じて身をすくめおる
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凍える手温度が溶けた昼時は笑った君が包んでくれた
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白い息霧みたいに消え震えてて朧月だけ僕を見ている
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