七日ぶり珈琲の薫り立ち上り 苦味身体の隅々へ流る
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寂しさが懐かしくもあり 横になり苦しみ病んだベッドに座る
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歌を詠む気にもなれずにいた日々よ 何か奪わる私の異常
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いつの間に春は来たのと問いかける 地中の土筆の声を探して (コロナ七日目)
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自宅にて病んだ日々にはお共あり スマホとポカリと遠い思い出
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ありがとう言われて少し奮い立つ 落ちてるときこそ親切発動
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淡雪を 乗せて消えゆく交差点 赤いシグナル季節を置いて  
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切り分けたケーキのように少し歪 秒針の数だけずれていく日々
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感情が痛くなくなるおまじない ちちんぷいぷい効果は出ない
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東京で出会った人たちの顔を忘れてゆく春休み、地元で。
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君の手を握りたくても握れない。こんなに近くにあるのに、遠い。
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早朝にカーテン開けるのすこしこわい 妖怪がいる気がしてならない
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深刻なエラーが発生し続けるノンフィクションの人生ゲーム
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朝起きて 春の日差しに 喜べど 花粉まじりの 風は冷たい
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そこにいる、いないは理由ではなくてここで祈れることがほんとう
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ペダル漕ぎ バスを追い越す春風と 煌めく海の景色分け合う  
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建築の 天才ガウディ悲劇人 段差に躓きそこに電車の悲運ありサグラダファミリア展より
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冴えかえる氷雨に濡れる梅の花 散る日近くも運命を生きる
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夕暮れに紙ヒコーキを操縦し君の肩先トンと触れたい
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投稿に「掲載」通知来ず三度目の別原稿を書き上げ送る
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「何もしない」をするために空けておいた日に 君に呼ばれて爆速メイク
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妣(かあ)さんと半分こずつ鯛焼を食べる三時にまた詠んでいる
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先生にまた怒られた血糖値糖尿はもうイヤビール好き
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幼稚園指切りをしたミヨちゃんは元気かなラブレター書きたい
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ラインより手紙がいいと書きまくり返事を待てど来なくて短歌
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新聞に載った夢から目が覚めて待ったのにまたボツもうギネス
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レコードを聴く喫茶店にて待つはいい友達にした初恋よ
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アルバムがいっぱいうちの財産だフィルムカメラを好きで良かった
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もう父も母も亡くなり義父さんも親は義母さんだけラブレター
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またエレジーにしてしまったと泣いているしつこい古希は初恋し過ぎ
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