一人立ち なんだかんだと言い訳し 実家暮らしを続ける娘
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満開を見せたい為に下見して 人員配置に悩みつ出発
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雲の端をなぞってみればガラス窓ひと筆書きで夏は過ぎゆく
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枯れ果てた小庭に立てば凍り水滴るほどの冬の青空
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我々は自由の少ない身の上でささやかだけど幸せもある
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知事選の候補者すべて頼り無く投票せずに速報を聞く
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どんな時死んでしまいたくなりますか?金より他に策がない時
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まっすぐに進んできたがそのために正面衝突してきた人生
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いつの日か出会うあなたに染まるため知らないままにしておく麻雀
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受け取ったバトン絶対落とせない念じて走る50メートル
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美しい空にまたがる虹の道 こちらが見るよにあちらも見てる
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道端の雪の汚れは早春の証と認め「キタナイ」とは言わぬ
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負けちゃった 三連敗か 日曜の 今日こそ特に 勝ってくれれば
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始業式明日とか信じられないし出会いに期待できないし泣く
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親友も先生も縁なくなって別れの季節の春が憎すぎる
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さみしさをチャペル・ローンで埋め立てる涙でマスカラ落としたくない
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「いつかまた」その『いつか』っていつ来るの?これが人生最後の別れ?
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手を振って永遠を告ぐわたしたち「さよなら」がはなむけの精一杯
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屈強な武士達まみえた合戦の寂しき影が風に変わりて
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体力を使い果たして墜ち消ゆる 雲雀は休む草葉の陰で
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標識の鳥はカメラを付けられて渡る空から我が町写す
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夏の雨慌てて走り込むヒサシ思い出すのは出会いか別れ
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ミジンコが宙にたくさん舞っていてきれいだ今日も海底都市は
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すれ違いざまにつぶやかれたぼくを導く魔法の言葉「死ね、ゴミ」
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遠ざかる町がどうにも美しくそのとき町は故郷になった
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恋人と呼ぶには低すぎる湿度 それでも僕ら、繋がれている
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名物の茶碗を師から手渡され震える指で茶筅を回す
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お下がりをダサいと言われて馬鹿にされまあいいウチの方針だもの
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あんなにも 待ち望んでた 春の陽気 いざ来てみれば 影に逃げ込む
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持ち札のJOKERどうにか出来ないまま場を支配したつもりのプレイヤー
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