肉やさい捏ねて想いを包み込みジューっと焼いたら言の葉餃子
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遠き日は船で行き来の島なれど橋のかかりてスイスイと行く
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亡き父の生れし小島や瀬戸の海茜に染めて日は沈みいく
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みまかりて三十余年経し夏に初めて訪いぬ亡父ちちのふるさと
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押し込まれ何処かで見たよな光る君 お互い揺れて見て見ないふり
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家出して 有名店で 修行する 親父がよく来る 店と知らずに
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頬白く 静かに溶ける 口角が 日向の時間 時を進めて
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上弦の月光る 鈍色にびいろの夕 別れの時を迎へし葉月
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生き残った奴らの声だけがただしいものとしてこの先残る
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かろうじて身体収めるバス停に真っ直ぐ伸びる電柱の影や
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熱帯夜 眠れぬままに 月を見て 心も渇く 明けを待ちおり
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ページ捲れば伊豆の踊子暗闇に絶景望む露天風呂
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一つしか 変わらないのに 八と九 終わり始まる 月末月初
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睡眠をたっぷり摂れた嬉しいな 気持ちよい朝おはようを言う
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たがために あなたが奮う 儚さは 己が果肉を もぎり取るさま
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アボカドの水耕の種変化無く夏の絵日記白きままなり
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温い風 隙間を埋めて 別の手で 水槽の空 ぼやける朝日
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思ひ立ち仕事帰りにスーパーで栗飯いなりとバナナボート買ふ
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老人を元気にするとふ漢方の書に習ひ妻にためさむと思ふ
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雷鳴に 期待が膨らみ雨待つも 光と音が今日も空振り
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飛び立ちて鳴き声止みし時の間にヒヨドリ襲う蝉の逝く空
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目を閉じて 手繰る肌掛け 心地よく まなこねむけに 君をおもひぬ
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靴ひもを結んで伸びをする君を蹴りたい背中と書く本もあり
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眠りって死の淵かもね 目覚めたら前より強くなったりもして
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寄席に来て三枝と米朝名調子次の出囃子聴きつつ外へ
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お金って時間ってこの人生て幸福って何!?誰か助けてーーーー!!!!!
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情けないことなど言うなと叱る父もう鬼籍へと旅立つ夜明け
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旅前の どこいく?どこいく? 二人して お願い長く 23
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苦しみに似た言葉など言い飽きてさて朝一番に水でも飲むか
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二十二時以降返信いたしません わたしを守ると決めた静寂
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