お向かいの 白紫陽花しろあじさいや 咲き満ちて 綺麗ですねと 声かけそびれ
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確実に仕留めたいなら名を名乗り深傷に塩をすり込むように
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十五分前の事だが文字まみれ行方不明の俺が見つかる
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DMを開放してもしなくても人は鏡で自分が見える
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坂道を登れば白きアナベルの咲く庭のあり水無月の風
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冷蔵庫片付け兼ねてあれこれとメニューの思案足元に猫
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天よ何故 ミスターの召し 遅れたる 氏の晩年は 身体動けじ
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月みえる?うちは満月 東京もおなじ夜だと信じたかった
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床に腰かけスマホを読むかたわそでの飾り紐にじゃれる猫
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バナナをば実芭蕉と書くスノビズム 使ってみたくてヨーグルトかけ
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暑くとも湿気はなくて蚊も出ない 日陰涼しや夏至前の朝
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出入り口蚊よけグッズをぶら下げし これにて夏の始まり覚悟す
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雨のカフェ 貴女と過ごした 4年前 貴女の顔を 直視できずに
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大量の薬物使用の疑惑をも否定せぬマスクの真意は那辺に
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肌に乗せタトゥーのような家守くん動けば人の悲鳴のフォルテ
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ひらかれず回し車のモルモットひらいて出られず翠の風にも
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菜園に 姿現す獣あり 憎っくき白鼻芯ハナジロ悪行三昧 
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世界中/の/ウインカーたち/の/タイミング/の/そろった直後/の/世界を見たい/の
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望むところじゃないの月わたしたちどっちがカレー好きか勝負よ
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りょうくんのパパ りょうくんをりょうと呼びちさちゃんをちさと呼ばないパパ
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プリントを回してこいに捻らせた身体の先にヘアピンときみ
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朝がたのミルクティの温もりに まぶたを閉じてすべり落ちてく
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剃刀で泡と髭とを剃り落とすあの快感を妻は知らない
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けて翁は離農したりけり片夕暮れに米搗く芒種
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真っ黒いね 月が不気味にね ニタニタと 笑って此方見る 笑って此方見る
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いにしえのフランス王妃が云うなればコメがなければ餅を食べられ
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主人あるじなき 無言の鳥居 神さびて 社の秘跡 今も示さん
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下心すかしてなぞるプラモデル/プラネタリウムも組み立てられる
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学生の 頃に聞いてた 曲流れ いつのまにやら きっと懐メロ 
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君の前で平気なフリをしたいのさ。平気じゃないフリだってしたいのさ。
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