50代 60代を 老人と 呼ばわるあなた すでに老人
1
もれてます携帯の声丸聞こえ 全てのもれは自由区造る
5
出された物たべものは 残さず食べる 」この教え 捨て去ることが できさえしたら
10
空白の 一週間が 繰り返し 老いた心に 拍車をかける
1
ご飯茶碗手渡し触れた指先の  冷たさに知る母の余命
6
愛らしい 美貌も今や 荒れ廃れ 笑顔が素敵 老いらくの恋
1
同じ実の 蜜柑でさえも 薄皮で 隔たれ容易にわかりあえない
9
老人と 呼ばれるうちは 花のうち 朽ちて落ちれば 死人と呼ばれ
2
換気して せっせと窓をあけてたら 花粉飛来で 目鼻ぐちゃぐちゃ
9
マカロンの 意味が「あなたは特別」と 宣伝されたらもはや買えない
7
断頭台 のぼる王妃の心地する トラブル続きの出勤日の朝
11
香久山の今朝は雲居に霞めるは天の戸よりや春は来ぬらむ
9
ちはやぶる 大雪山だいせつざんの 綿帽子 超えて参ろう 吾子の住むまち / やや光る君
20
感性を言葉で紡ぐ引き出しを 多く持ちて生まれ出づ人の居り
12
三十分前から三歳きみは玄関で「はやくいこうよどうぶつえんに」
11
よるをゆき 無聊をふさぎ さむささく なすことすること おんだんかのもと
7
よがあけて するべきことを すませたら きみにあいにく たのしみしてて
8
あてどない営みと知り繰り返し手を振っている人の苦しみ
9
夜明け前の冷えた地面に横たわる人の胸にある黒い塊
4
ゼーリエに 「魔法」をひとつもらうなら あなたは何を 願いますか。
8
わがままな子にも快哉叫ぶ母 受験の季節 「サクラサク」届く
14
ひところの よるのさむさも やわらいで 脳内音楽 「ホームにて」/ 「ふるさとへ むかう さいしゅうはぁ♫」
7
六ミリのバリカンすべらせ丸坊主に。聴診器より数珠が似合ふかも
7
オーバーに笑うのが仕事なのですと顔に書いてあるテレビタレント
8
俺だけじゃダメなん?流行りの曲も聞くし お前の塩加減とかわかるよ
5
ゴハンあと 母とねむるが楽しみで ちま猫そっと足元寄り添う
12
この庭に 色をつけたい 水飛沫 長いホースと 貴方のぬくもり
7
毎日を遺書を残して過ごしたら書くことばかりで時間が足りない
4
過ぎ行けば「過去」と名前が付けられて 進めない人置き去りにする
6
君いない二度目の春は今もまだ モノクロームに写し出された
7