美乃
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非通知といふ手ざわりのその下に あるかなきかの人の心は
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ゆっくりと吐くほうが先 みづからに言ひ聞かせつゝ五つ数へる
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暮れてゆく空の静寂にただひとり 委ねただろう母の身を泣く
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むなしさの底を知ろうとすることの そのむなしさはいやというほど
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いつかこの秋を忘れる 喪失と身軽さだけでここにいたことを
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花ひとつ携へてゆく応へてはくれない母の聲が聴きたく
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グレゴリオ聖歌の果てて燻り立つ 母よあなたの骨の白さよ
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朝が来て諸々の鳥は歓びとそして交互に絶望を歌ふ
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どうせすぐ醒めるのになぜ眠ろうとするのだろうかまことしやかに
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あやまちと赦しとは 同じ旋律を湛へて眠るふたごのように
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寛容といふ名の下でゆつくりとその正しさに疲弊してゆく
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気の遠くなるような日の最果てに ふと三日月のまなざしを覚ゆ
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誠実であるべきなのは 言葉ではなくて私のほうだったのに
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見せかけの終止形でも 無いよりはましと言いたいのでしょう あなたは
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