しましまの しまのしじまのしまながし しまるくびわにしましまのうま
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砂浜に空をゆく影ひらめいて連れ拐われた瞬前の過去きょうのひるごはん
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秋雨のフォークダンスは空を染め緋色の夏を終わらせてゆく
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ユーモアと力強さが同居する歌が好みで近づきたくて
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恋心 頭の中がやまいだれ 掠れるくらいにスマホ摩る
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悲しみの凍るこころを冷凍庫から取り出して自然解凍
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「ここではない、何処か」を重ねるごとにほら、針の筵も広がっている
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バイバイに笑みを満たしたおさなごは別れの仕方こころえている
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薄らの誓いは破れ絶対零度サブゼロの不信は僕を磔にする
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愛されるために各部の体毛を抜けよ生やせよ生やせよ抜けよ
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死ぬことで生きながらえるこの身体 昨日の僕は下水の中に
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帰る度「あなたはだぁれ」と笑う君 「私は父です」百度目の秋
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新しい朝を迎える繰り返すお天道様はいつも見ている
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積ん読のあはひに本の妖精は月光こぼし文字を指さす
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一冊の時の重さを知らぬまま入りこみたる無風地帯へ
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紙魚しみといふさかなの泳ぐ頁にて水泡みなわの琥珀いろの膨らむ
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たくさんのレビュウがついてこの星は星と呼ぶには小さすぎるか
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輝いておねがいだから頼むから 土下座もするから靴なめるから
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反射するビルの光の重層に薄れる影は街のあやかし
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好きな物 メカとロボとIoTアイオーティー オタクと言われて 構わない
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来し方も行く末もはや酔い果てて彼我は美禄にくずおれてゆく
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酒なくば 即ち死すというごとし あとにもさきにもこの一献よ
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のけものは けものけだもの もだもだの のけてけられてけだものだもの
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どこへ行く どこでもいいさ どこへでも どこへ行ってものけものだもの
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黒い雲 今は真下で向こうには紺碧の空 その真下へと
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共感をされることなき悲しみをふりまわしてるわたしは台風
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暗がりに感じる柔い石鹸を 来世は雨に生まれようかな
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雨音に秒針かさね落ちてゆく宵闇の底のまぼろしの声
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どんぐりを土に埋めつつ冬の夢かぞへてゐるやりすのご一家
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灰いろのりすたち跳ぬる裏庭に灰いろのこころ放り眺めむ
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