束の間の 逢瀬に火照る 西空の 朝月の背に 藍を重ねて
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秋の日を春の日と思ひ描くとき濃く薄くあるひかりとであふ
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衰へてゆくときならば秋の日の繭に眠れる日だまりは何
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時をまつものをつめこむポケツトにまつぼつくりとどんぐりとくり
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ちょっとまて それでもしかし あるいはさ ごめんこれだけ 逝かないで
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銀杏と金木犀がむせかえる便所のような秋もまた秋
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短歌ハイ 少々過剰な全能感 私は私の歌が好きだよ
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自販機の足元で鳴く蟋蟀こほろぎはただ蟋蟀の生死を歩む
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感覚と感情の緒をこの箱に繋いで描くボクの王国
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錆びて朽ち崩れて塵に戻れたらヒトのタトゥーは消えるでしょうか
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役割を解かれた朝は慰めに「準備中」って嘘を貼られて
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詰められて吐き出していたあの頃は二十四時間輝いていた
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冷たくも熱くもなくてゴメンねとコトンと出した缶の珈琲
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まだ君は繋がる場所を探してる星がこんなに輝く夜に
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草原で膝を抱えた自販機と空から降りてくるものを待つ
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金木犀 姿は見えねどいいかおり ホワイトリカーに漬けてもいいしね
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つめたいの青いボタンを光らせて人待つ夜の自販機と猫
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疲れたら酪王カフェオレ飲むといい ハイカフェオレもオススメですよ
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子供たち 今日は寒いと はしゃいでる 楽しみながら 大きくなあれ
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鈍色の絵の具で描き出されてたひみつ道具で変わった過去が
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床が天コップの水が下零る君と僕とは抱き合ったまま
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没頭し我に還ると歌が在る 繰り返し詠む無名の忘我
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あめつちは香炉のごとし秋されば金木犀の風ふきわたる
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「かわいい」ともてはやされて育ってきたのあたしにはそれしかないの
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いわし雲どこまでも並んでいるスーパーの陳列みたい君は主婦
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インド人カレーの辛さは意外にも耐えられぬ常識的にも
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優勝で 広島の街は大騒ぎ 春でなくとも こひに躍れり
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みづ玉にしつとり濡れて春を待つ雨ふる街の秋立ちそむる
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四季のうち三季は雨季となる街の晴れの日に咲くうすき紫苑よ
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春雨はほの白くふり秋雨はほの暗くふる雨の心象
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