「恋しよう」やればできると笑っても 貴方への愛 どうにもできず
0
「また来てね なんて呪いをかけないで」昼の紫陽花 小雨と涙
2
恋敵 お前はいつもそうだった 下せばすぐに消えてそのまま 
2
恋心 小火のようだと例うべき 見て見ぬふりをする間に大火事
1
大人はね臆病なのよおばかさん だからお利口さんじゃ駄目なの
1
やめてくれ きみの面影探すのは 僕だけでいい 僕だけがいい
0
世迷い言 きみとふたりで語らおう ワルツのテンポに丁度いいだろ
1
神ごとき 彼に触れるな呼ばわるな 七夜に迎えぬ己でも呪え
0
溜まりに溜まった屑籠には ため息すらも質量のない塵
2
マリア様 何処へおいでか 置いてくか この世に聖母あふるるままで
0
苦しみの声を聞かずに罪を抱く お前は何を悔いたつもりだ
4
あの日見た夢を掴むと空を見る 道にころがる夢に気付かず
2
金木犀 部屋の中でも香ってくると思っていたが「おや、芳香剤…」
2
蝶々の死骸が花の上にあり 誰が置いたか、ここで死んだか
4
醜くて身も蓋もない嫉妬心 まずは言葉へ変えて寄り添う
2
無理矢理に定まることもないだろう ある定義ではそうなのだろうし別の定義じゃちがうだろうし
1
庭先に先代の犬の墓があり なむなむなむと手を合わす甥
2
あちらに見えます月と地球 じつは大きな親子連れさんです
1
叫んでもどうにもならぬこのこころ 紙屑にするにはまだ惜しい
5
「太らなきゃ」本能今年も叫びだす 頑張れ理性 頑張れ理性
0
あの鳥も あの草花も あの虫も 昔教わった 全部忘れた
0
100点中2点の夜に腐っても台風がまた近付いてくる
0
雨の日は 朝から呑んだり歌ったり 本を読んだり刺繍をしたり
1
庭で水浴びをする 君は鋼 隣人なんか気にしないなんて
2
「あなたってこういうものが好きなんだよね?」母はイエスと言わせたいだけ
2
曼珠沙華 居並ぶ赤をながめつつ 「近頃は白いものも見ますね」
1
君がいない台所には用途不明の薬缶と豆板醤
1
やすみだし もうちょい寝ちゃお 一日が短くなって寂しいけれど
5
背後には紫陽花とときのいろを立て夕の魔物となれる樫の木
5
きりとってそっとしまっておきたいな落石岬の灯台の風
3