素手でかえるを捕まえる君が目の前でうどんをすすっている
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君に抱く説明できない感情はおそらく未知の素粒子のせい
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冬ごもり 春は青しと知らぬものよピンと張る 縒り合わせた糸が切れるなんて 片糸より添ふ先に君見えず春は名ばかり 心冬ごもり
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陽だまりのやわい手のひらの体温を忘れられない雪の怪獣
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里山に山吹の花燦々と 女神に捧ぐ太陽のかん
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ぶらぶらと過ごす老後のわびしさよ男だったら立てもう一度
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木の陰のひとりしずかの花化粧 さくらの紅にひそかに染まる
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初めての恋でも最後の恋でもない でも夜の散歩をしたのは君だけ
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ほろ酔いの わたしはあなたに よりかかる (わたしはあなたのものになりたい)
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「さよなら」と君がいうから死んじゃうと思い込んでた野球の話
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気がつけば一人だ 洋画のエンドロール、好きなのは私だけだった恋
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「ごめんね」と 謝る君に淋しいな。 頼られたいと 願うだけだよ
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項垂れるあなたの頭を掻き抱いて月まで逃げよう、誘ってやりたい
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母九十二 今日また入院 今度はダメか 幾度も思うが 生きる生きる
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東京さ行くんだと告げる横顔のラファイエットみたいな凛々しさ
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可能性の海に漂い沖に出て浅瀬にいればと沈んだ後悔
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転生を夢見る流行り曲、俺はただ落ちるのみの人生
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最後には青い心が染み渡る青い鳥と飛ぶよりましか
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俺の苦しみがお前の糧になりますように、とお前に短冊
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プレステとスマホ動画を同時にprayプレイ ああ恐るべしZ世代よ
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あいしてる、ころしてやりたい、にくたらしい、可愛さ余って憎さ一万倍
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遠足の前日のよなワクワク感 バナナは持たずに明日からバカンス
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昔から他人ひとと比べる自分嫌い 短歌うたはそれぞれ自由でいいよね?
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完全に染まりきるまで待っている青と赤との境目に立ち
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己をさ、どこまで信じたらいいの?それがわからずてんてこまいさ
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もうこない たけのこあきらめ 購えば まさかの到来 当分たけのこ
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信夫山木隠れにのみ行く水のに立てつべくものを思ふかな
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ゆるやかに弓張月は夕暮にゆかり色への夢路をたどり
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ほろ酔いで飽かずに盃は重ねられ西船橋の前で目覚める
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やさしさに包まれてたい唇に触れるよう降る春雨の野辺
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