冥夜の猫
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投稿数
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ヒトリキリ ぬるい世風に背を向けて 鏡の如き月と語らう
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夏色のかたばみの花悠々と古参の鉢で借り暮らしかな
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お隣は季節を渡る鳥達が愛してやまぬひと春の宿
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君の名と勿忘草わすれなぐさの花言葉 古い寄せ書き 褪せぬ面影
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深海のあおを映した植木鉢 薔薇か葵か どの花似合う?
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青空と夏に焦がるる葉桜の 手に手を取りて翔ける季節を
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湯あがりの 紅き縫い痕 鮮やかに もいちど君と明日を語ろう
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乱れ咲く紫陽花ロード祖母とゆく 一年越しの夏の約束
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炎天に雨ぞ恋しき紫陽花の褪せし姿にこの身重ねて
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道端で摘みて帰りし朝顔の種は芽吹いて夏を彩る
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暗闇に梔子くちなし甘く漂いて 明けぬ心を朝へいざな
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蜜を吸う黒き揚羽の羽ばたきに 花びらひとつ水面みなもに落ちて
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行間に滴る想い掬い取り 呑み干すようにページを捲る
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ぽってりと熟れた山桑ヤマグワ摘み取れば 初夏はつなつ甘く舌に弾ける
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真夜中に雨が奏でる四重奏 カルテット次第に曲は激しさを増し
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煌々と月影映す屋根瓦 影絵のような街並みを撮る
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見下ろせばぶち雉虎、黒猫が三竦みにて餌を待ちゐる
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水晶に刻まれしこの一条は 太古の空を翔けたいかずち
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銀色に糸引く雨の檻の中 陽光ひかり呼び込む友の言の葉
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ひそと咲く黒き花葉かよう寒葵カンアオイ 罪を孕んだ恋の似姿
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春風に枯葉散るかと目をやれば地味なの舞う華麗なワルツ
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大波が逆巻く時代だとしても 君の言葉が私の錨
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数字追う日々の隙間に花をづ 心の棘も無心に還り
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見慣れない双葉芽吹いてもしやあの、黒い種からオシロイバナが
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病ある薔薇譲り受け奮闘す 馴染み始めた剪定鋏
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ひっそりと白詰草の揺れる道 花冠にはしゃぐ子らの幻影
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葛藤を抜けた五月の夜の淵 熱い瞼を風が撫ぜゆく
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星渡る夢から夢の渡り鳥 潰えた夢は誰が弔う
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憐憫の闇を深掘る名人がその深淵で仰ぎ見た空
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降り頻る君の涙を肩に受く 白き小壺よ静かに眠れ
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