冥夜の猫
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聞き慣れぬノイズの中の旋律は 君の遺した古いレコード
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僕たちは言葉の針に削られて ノイズだらけのレコードみたい
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早咲きのたんぽぽはもう旅支度 今か今かと吹く風を待ち
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奥峰に古桜こおう散り敷く 我が内に褪せゆく恋の名残り惜しみて
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を落とし冥夜の散歩 泡沫うたかたの歌人が棲まう窓辺訪ねて
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静寂しじま打つ水琴のめい 人知れず詠まれて消えた歌を悼んで
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いつの日か愛されたいと泣く我に 小さなキスをくれた白猫
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ごうごうと戸窓を叩く風嵐 どうか朝まで春の眠りを
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満ちて なお積もる哀傷 「愛」はどこ? 薄紅月ピンクムーンの夜はふけゆく
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デデポッポ ユーモラスかな 山鳩の鳴き声真似て急登を行く
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儚さの輪郭なぞり生きていた 宇宙そらの向こうに解を探して
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目覚めたら陽光踊る虹硝子 嗚呼、毎日がこんな朝なら
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香ばしくタイムラインに湧く蟲の 独りよがりの昏き輪唱
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せせらぎの地下には古き川ありと 通りすがりの老婆が語る
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折り鶴に別れの歌をしたためて あなたと共に炎をくぐる
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情動の河堰き止めて澱むなら 語れよ語れ迸るまま
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いつだって我が心の瘡蓋かさぶた毟るむしおまえは被害者の顔
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月極の『空あります』に誘われて 仰ぎ見た碧 航雲 こううん 翔ける
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ザクザクと軽妙に音立てながら 君は小さな壺に納まる
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花散らす冷たい雨に春が逝く 天使の梯子のぼる君の背
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蒼ざめた瞼の縁をたどりつつ 温もり探す花冷えの下午かご
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