ニルギリのかすかなかほり広まれり朝6時前我ひとりなり
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いつの間に太陽よりも早く起き淹れる紅茶も少し濃い目に
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ふるさとを離れて気づくかの地にも匂いありしとホーム踏み出す
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秋雨や 通りかかりの 霊園の花壇 揺蕩たゆとふアメジストセージ
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扇風機汚れ落として 出番待つファンヒーターに場所を譲らる
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チョコレート 握った手の中溶けないで 十四日の頬 手をあて帰り道
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無礼講  何でもありや  「マジっすか?」 「お前のことが  気にいらねーよ」
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そんなことしてもあいつは悲しみも怒りもしないし好きにすれば?
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星々の言葉をきみは意訳してひとりで泣いたり光ったりして
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枕もとラジオが騒ぐ秋の午後政治の動きも子守唄にて
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差して待つ少女の傘に大人しく幼ないもとの身を寄すること
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暗室のモニターに動く心臓の隅々までを余さず見せる
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いけねえや出かけた腑万飲み込んだ嗚呼面白い嗚呼楽しいな
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左腕ドラキュラもどきに差し出して大さじ一杯ほどを覚悟す
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既視感に沈む吾の歌またひとつ詠み続くさき 何が芽吹くか / 先ずは百首詠もう!
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秋空にナナカマドの実の色映えてバス待つ人らの視線集める
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空見上げ 雲居の空に 瞳閉じ 君想いしは 一炊の夢
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芙蓉花 薄曇りのなか 鮮やかに ピンクむらさき 母の好きな色
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文人に 天下の奇観と 評された 雲海たなびく 山谷連々さんこくれんれん
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痛くない傷に限って誰からも見つかりやすい場所についてる
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森に入り リースとなるよなつる探す松ぼっくりも此処にいるよと
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天高し ノートみたいに端っこに明日の献立書いてあるかも
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種を撒くようなことだな押しつけの無い優しさを置き去っていく人
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二次元と三次元のアイドル達がアクスタとなり巡る伊勢志摩
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献金にカネかね金とかまびすし鐘は上野か浅草か
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道のりは遙かなるかな精神科。ふるき薬を仏と見たり。
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田舎空 合図花火が炸裂し運動会が始まってしまふ(体育は苦手でした)
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公明党政治とカネが限界と二十六年の連立解消
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長からず 短からず 燃え尽きず 半熟玉子の青き春にて/離島に生息してました、キロさん。
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昭和にも東京五輪のありしこと十月十日の今朝おもひ出づ
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