荒海を 漕いで渡れる 小舟かな 溺れる者も 裏切る者も
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金払い いい事させる 親なんて 子供が不幸 不徳の極み
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晴れたらば歌詠みたがり雨ならばまだ知らぬ語の多きに微笑み
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吹き上がり飛び散りあふ泥汚水どろおすい 蛇口壊れて止めるすべなし
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あまたあるやまいのどれにかかるかで左右されるよ生涯格差
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同じ色 同じにあらず 色を変え 風情をかえる 紫陽花の花
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雨の間を夜ゆく街のひややかに手びさし透かし光まばゆき
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忍び足 布巾をめくり レンジして ソファの寝息に 片手で詫びる
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間違いを防ぐ説明配れども読んでくれぬかミス繰り返す
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一日いちじつの雨は一夜に流れ去り 群れ雲ゆきて 夜に雨ふる
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ギュギュギュっと押し込みつめるお弁当朝ラッシュに似てわたしもダッシュ
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ベーグルがおいしい店のベーグルを食むベーグルを噛み切れないぼく
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かりぽりと漬物を食む音だけが響くふたりの静かな夕餉
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古ぼけた教会の上にある十字架ここにも神が身を潜めている
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落ち込めと 寄ってたかって 虐められ それでも笑う 俺は変人
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老いぼれと 罵られても 本人は 未だ青年 夢見る天使
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ウシガエル天を仰ぎぬアオサギの嘴にただ咥えられつつ
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雲を見て 気象庁とか 言わずとも 一人合点の 梅雨入り宣言
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満腹の うたた寝くせに なりにけり それにつけても 早期復興
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ざんざんと降り続くごと蛙鳴く月のない夜埋め尽くすまで
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ツバメの子 今日も元気に 鳴きにけり それにつけても 早期復興
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草丈の 伸びる速さや 刈り残す それにつけても 早期復興
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散歩道 いつもの顔ぶれ 揃いけり それにつけても 早期復興
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夜明けまでもうあとひとつしかないし時計の針は逆さに動く
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悪口を 言われていたと 言われても 仕方ないよね 諦めましょう
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なんかまじ迫力のある人生を送りたいとは思っています
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低気圧来ても去ってもやって来るもう何十年の頭痛歴かな
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振り返るハードモードの先週の日々小休止してまた明日から
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いくつものバターを吸ったトーストでかれらを殴る 羨ましかった
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解体後 影も形もない家屋 今年まで咲いていた梅の木も
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