朝散歩 鈴虫が鳴き 大鴉 ふわりと着地 威厳に満ちて
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パリの街我が遭ひたるロマの娘 スリが生業なりはいとは哀れなるかな
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だんだんとちいさくなっていく僕のつむじをずっとそこから見ていて
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『カナリア』のスタライには茹で玉子 ウデスタ一択あせだくだくに(赤茄子日本翁、同学ですなっ)
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[あばさける]とは福井方言[はしゃぐこと] 我はあばさけ者でありにし
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しとしとと 降りつる雨に 夜は寝て おきし土産は 呼小鳥かな
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秋空に タカのワタリを見上げその迷いのなさに胸揺さぶらる
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ほうき草 丸いフォルムが愛おしく 紅く染まって いや増す可愛さ
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あかねさす 紫立ちたる 暮時に 漂ふかほりの みちにのりける
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ねぎらふかの如 すり寄る猫を撫で 食む出前ピザ 週末の宵
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擦筆さっぴつを夜な夜な作り溜めるのは美大への道断たれた当てつけ
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可愛げは自宅のトイレに流してきました水道代はそちら持ちで
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着くのまだ? まだ着かない?と 俺に聞く 息子に言いたい 俺も聞きたい
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勉強をしないとバカになるからと大学出たがロマンス詐欺に
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土曜日の朝は 特別感が欲し フルーツサラダに 紅茶オレなど
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ちま猫ちゃん ぴーぽーなっても きにしニャい おうちのなかは あんぜんだから
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よあけまえ チビ猫うろうろ おちつかニャい おそとの「さいれんサイレン」 きになっている
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アカシヤの花は目立たぬけれど香りと蜜を出し昆虫を呼ぶ
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なんとなくセーブしてたが晴れ晴れと人間ドックは食欲の堰
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葡萄の実発酵すれば香ばしく神と人とを幽玄に誘う
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花々は緑の原野に蝶や蜂 小鳥呼び寄せうたげを開く
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雨上がり 雀とメジロ 集まりて 木々の小枝で 交歓す朝
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耳澄ませ 山鳩の声 聞き入れば 静寂しじまを揺らす 烏帽子えぼし軍団
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七転びそのつぎ八倒苦虫を主食としている生命体
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どうしたの 君は無言で 訴える 日が悪いから 今度にしよう
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水澄みて秋空映す夏プールりくるかりの家族待ちをり
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じっくりと世界が見たい差す目薬自転車に油差すみたいに
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面会に 4人の女 鉢合わせ 俺は思わず 幽体離脱
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塩まかれ 喜んでいる ヤツもいる 塩対応が 好きな幽霊
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神無月 過ぎゆく秋に短歌うたを詠む 三十一文字に思ひを込めて 
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