どこからが空か海かもわからない大きな碧から生まれて還る
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「半袖は仕舞わぬように」とテレビ告ぐ 誰か教えて衣替えの時
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夜来れば守宮やもり来て玄関の窓に張り付き何事もなし
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今気付く 創作系の 我が家かな ボロ家造り 絵師に文芸
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蝶が舞う ひらりふわりと 蝶が舞う 涼風すずかぜ 首筋吹き抜けてゆく
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思い出と いうよりいま 目前の 自分の川には 大三元
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今ここに ある中牌と あの時 ツモ切りした 白牌のその先
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無愛想に隣に座った老犬の 尻尾が少しももに触れてる
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観音に祈るを識れば観えて来る 人の心の表と裏が @egaoojisan #慈治
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餌撒けど雀は来ない小雨降り パン屑濡れて萎れて しまい
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この恋はサンゴ礁なり ひたひたと白化すすんで消滅の危機
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線はいいもう沢山よ点のまま星さながらにスッと消えれば
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現代の短歌はまさにアートかな文字が織りなす言の葉オブジェ
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上むいてお願いだから目をあけてまっすぐ落ちる目薬だもの
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漱石も子規も仰天伊予の街 まんじゅうになり団子にもなる
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ほうしぜみ秋も鳴くなり松の山 汗を拭き拭き天守に登る(松山暑いっ)
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いい勝負だったと皆が拍手する私の悔しさ知らない人らが
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仕事する 君を想ってパン選ぶ 離れてる時のが 優しい私
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八匹の保護犬に囲まれ暮らしてるどれも可愛い我が家の宝物
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ニルギリのかすかなかほり広まれり朝6時前我ひとりなり
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いつの間に太陽よりも早く起き淹れる紅茶も少し濃い目に
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ふるさとを離れて気づくかの地にも匂いありしとホーム踏み出す
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秋雨や 通りかかりの 霊園の花壇 揺蕩たゆとふアメジストセージ
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扇風機汚れ落として 出番待つファンヒーターに場所を譲らる
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チョコレート 握った手の中溶けないで 十四日の頬 手をあて帰り道
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無礼講  何でもありや  「マジっすか?」 「お前のことが  気にいらねーよ」
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そんなことしてもあいつは悲しみも怒りもしないし好きにすれば?
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星々の言葉をきみは意訳してひとりで泣いたり光ったりして
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枕もとラジオが騒ぐ秋の午後政治の動きも子守唄にて
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差して待つ少女の傘に大人しく幼ないもとの身を寄すること
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