耳の底 残るあの嘘 消したくて ついやり過ぎる 耳かきの癖
21
滝の如 溢るる作の浮世かな 滝よ凍れと術に励んで
14
せかせかと生きてゆくのは使命感 狭間を生む作品と虚構
6
冬の夜乾燥予防の布マスク自粛手作り「ご自由にどうぞ」
18
来客にすました高い声を出す米寿の母の現役感よ
15
絶滅危惧種のうさぎとそうじゃないうさぎが並んで月面走る
9
クレヨンでスケッチすれば色がゆびにうつる、どこまでが絵なのだろう?
5
ぜん人類の言葉みまんの気持ちをさ 海に投げこんだ滅亡ぜん夜。
4
ただ焦がれ貴方に会えたそれなのに 遠く掴めぬきみの手のひら
13
妻が言う「一人になったら二度寝する」 「了解です」と三顧の礼す
20
命より大切なもの失った人だけそっとこの指とまれ
13
一日にりんご一個で 医者いらず 福クッキーも 今日こそ食べる
16
ちま猫ちゃん おこめすいなんて こうぶつよ とぎじるは おはだ つやつやになる
18
題∶「朝のエレベーター」 朝の刻 箱に居並ぶ 上下(かみしも)の 礼ぞ済みたる 後(のち)の静けさ
15
ベランダで 体操するも 薄曇り 寒気が肌に 突き刺す睦月
24
脳トレに短歌うた詠み始め丸二年 組み立てゲームも日毎に難し
31
吹雪く中それでも雪は少ないと雪おろしなどしたくはないな/会話
18
後輩に奢ったあとのお財布は 軽くて薄くて嬉しいトロフィー
6
そうなのか母に聴かせる童謡の歌詞改めて意味をかみしめ
23
雪の紋 貼りつけ走る 車窓から 大雪山だいせつざんの 気高き稜線
37
ねむすぎるそんな朝でも君の声聞いてるだけで元気になれるよ
5
百歳の祖母がわたしに言いました四十八かいもうババアやな
29
心配も病やまいになると厄介だ 爪切り握る妻は深爪
10
あと五分眠っていたいと思ってた 今は眠れず朝を待ってる
15
背を丸め 行き交ふ人の 白ひ息 冬空くらし 宵の街中
27
知らぬまに手術痕きずあと撫でて眠るくせ夢の中では母の手だった
18
戦友と思ってた君も気づいたら 誰かと前へ飛び立っていた
9
口々に父の思い出母の味家族にもどるふるさとの夜
19
止まらずに まわり続ける 暴れ駒 張り手一発 作法はそこから
24
寒夜にて心許こころもとなき水流のシャワーに打たれ今日も生きてる
20