立てて読む図鑑の向こうにきみがいてトリケラトプスのひとみと重なる
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嫁ぎ来て良き隣人が友となり三十年第二木曜朝の珈琲
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脳みそが馬鹿になってるから今朝もあの子の影を踏み間違えた
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列島を ツリーとみれば ふる里は ベツレヘムの星 近くて遠くて / 宗谷本線崩落
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一本の 雑草でさえ 愛おしく 五感を使い 春に呼吸す
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すり減りしパッドをすべる指先にThinkPadの15年感ず
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ボイジャーよ、独りくらげなす漂ひて寂しからずや、海ぞ寂寞
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春日和 出窓の網戸にへばりつく 越冬カメムシ我が世の春よ 
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花びらを拾うレディの透き通る手の影残る朝の公園
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短歌ってムリに詠んでもつまらぬよ 自分の言葉つかんだらGO
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久々の外食、松花弁当🍱のご飯とおかずと味噌汁うまし
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手ずからにご飯よそっても知らん顔 気まぐれなのは茶トラの性分
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今君は 静かに眠る 寝顔みて 僕はただただ 途方に暮れる
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みずうみをうみと読まない人生か 父の眼鏡に毛嵐ふたつ
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歯車の欠けた時計とおそろいで進め 私の冷凍睡眠
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ダメそれは犬がくわえていいもんじゃないダメそれはおれの残骸
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「人」として振舞ううちに人となり成 / 為 人情持たぬのは「ひとでなし」
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破裂した音が聞こえて風船であってほしいと願う真夜中
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最近の テレビゲームは 子供より 大人を狙う まんまと刺さる
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そばにいて私の代わりに呼吸して私の代わりに明日まで生きて
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孤独死の話題を母と語る夜昔話をするなめらかさ
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桜雨 吹いて流れる 花びらが 地に落ちる程 遠のく君よ
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二十歳経て無才。ブリキの錆びにけり。花ぞ散れかし、朧月なれ。
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「新しい先生ちょっと苦手かも」 色々あるな三度目の春
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腕時計忘れたその日思い出す1日8回時間を知ること
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春休み最後の一日友達と 駆けてく君の後ろ姿よ
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怒ること止めたら父子穏やかに 一日過ごせた春の週末
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(もう一度あの毎日に戻れたら)ごめんやっぱりなんでもないよ
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ベランダで見下しみくだし想う、重力で自傷し無痛ならましものを
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二人きり 風のない暮れ 髪は揺れ 浮かぶ花弁に 口づけをして
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