ネット無くゆったり流れる船時間 海を眺めて空を眺めて /デジタルデトックス
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潮の香を運ぶ夜風の心地良き ふるさと目指し乗り込むフェリー /敦賀港から
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文豪の用紙のマス目踏み越えて万年筆は縦につらつら
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瀬戸内はさざ波たちてただ碧く いついつ見ても言葉さがせず
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永遠という概念が欲しくって 文字だけ置いた君の掌
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職場から 書類の提出 求められ 銀婚式か⋯ 思った次第
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「行かないで」 腕にしがみつく愛猫 せめて職場に連れて行けたら
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ご近所の 花を愛でつつ さあ帰ろ アサガオがまだ 咲いてるんだね>青紫色でした
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石ころが宝石に見えるような目を持ったあなたの世界が気になる
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昼散歩 暑さに上着脱ぎをれば せせらぐ川にアキアカネ飛ぶ
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飛行機の窓にくっつき外を見て 星光る空 煌めく地表
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まりちゃんをナデナデしつつちびすけが見ていないかとあたり見回す/猫
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駅ビルが屛風のごとくはだかりて 街並み見えぬ野暮な京都駅
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ここにだけ何故か猫の毛吹きだまるどうなっている室内気象
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サヨナラはエラーなれども美しく 勝者讃えん 敗者にはなお
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ヤバそうで熊とモバイルバッテリー外歩かない持ち歩かない
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思いつくごとに書き足す裏紙のメモ余白尽き行くべ買物
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お馴染みのドラッグストアとコンビニでどの街も皆同じ顔になり
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画面まえドジャース試合汗握る解説いらぬ耳障りなり
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ココココン学校裏でキツツキの出遇であいは今も思う宝物
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このところ オモロいほどに 豆苗の 新芽がぐんぐん 伸びに伸びてる
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川キラリ 秋陽受けて 波キラリ 車内に届く 日差しも優し
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「源氏」ってつく菓子みると 泣けてくる 絶対(宇治)行けるよ 涙を拭いて
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気球ゆく重さを捨てて空となる我の煩悩を風が解かして
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遥か空風のゆくまま彼方へと見下ろす街に君の窓光る
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色瓦ぽつぽつ剥がれた境内は寂れた緑に紅葉もみじが映えて
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銀杏いちょうの木 たんと実をつけ母の顔 凛とぬくもり漂わせ立つ
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秋陽差す紋白の舞う遊歩道クヌギのドングリ数多転がる
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花火哉 夏はわたしをおいて散る きみもわたしをおいてちるの
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西へ西へ息子の暮らす伊予の国 親ばか二人おかず背負ひて
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