小さき木が石畳浮かせ伸びる様 子に説く父は雄弁となり
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降水帯 今こそ出番だ現れよ 得意の放水大船渡へと
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友よりの別れを惜しむ紫のうつむく花はクリスマスローズ
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紅色の苺洗いて香りたちひとつ頬張る台所の春
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歳重ね 日に日に似てくる亡き父に 妻の指摘に意固地になりて 
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幸せは案外そこに落ちていて踏んだ痛みで気づいたりする
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協調性あるふりしてもふりだからストレスたまる ワンオペ楽シ
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ワンオペが実は好きなの気兼ねなく自分采配 ガンガン働くいく
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大半の時間を掛けてあけるのさ幸せの意味ピクルスのふた
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誰にでも上位互換はいるけれど人の形をしたゴミもいる
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言葉からこぼれるものを掬うのは言葉でないと知ってしまった
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胸の奥 ぽつぽつ増える好きたちがあふれてひずみずきずき痛む
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桃色に染まった夕日 今日はまだギリギリセーフ 青くないから
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お小言を馬耳東風で通り抜け ドアをしめれば俺の勝ち確
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カラメルがちゃらメルになる原因は生クリームの過保護らしいよ
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あたしってばあなたに貰ってばっかり だから一生かけて返すね 受け取れ
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予報では 明日の気温 四月並み あしたはいいさ そのあとつらい
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暖かな陽射しの間をよぎる風 春の優しさがすぐ目の前に
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言霊が 魔法のように 叶えてく 幸福の日々 ずっとこのまま
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快晴の空にあなたは消えたけど わたしの中にあなたは永遠とわ
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一日の体感時間と鉛筆が短くなった 受験終了
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つるのうた 君が好きだと言った歌 どうしてこんな涙が出るの
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湖は結氷せずに二月末 氷下魚こおりしたうおまぼろしなるか
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春支度空が始めてきたらしいあなたに知らせたくなる匂い
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夕暮れのひかりにとける影ふたつ明日もこうして会えますように
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天泣やとける雪の音聴こえつつあしたは何を着たらよいのか
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ドバドバと書けば流れる脳味噌はペンを通って日記の海へ
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ソファーにて娘と息子にもみくちゃにされる幸せ冬の日の午後
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すきあらば貴方きみの笑顔が浮かぶので すきのない女を演じなければ
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言葉より 伝わるものに 包まれて 静かに過ぎる 二人の世界
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