自分へのチョコを買ったらわが物よいきおい食べてほんに恋しい
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とりあえず おなかいっぱい 食べてから お菓子食べたら それは幸せ
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そんなこと言うなってこの否定はさ あなたの優しさを否定してるわけじゃないよ
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途遠き日吉のはてを千里なばわれけふ一里だに歩きたし
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あの長く谺しすぎた絶叫は環境音の一つになった
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大きさや遠さのいろいろな加減で、粉に見えたり、人に見えたり
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水仙の一斉に向くその先にみんなにひらかれている断崖
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門高し早稲田の杜を見上げつつはかなき命われついやさん
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一人分空けて始まる曲披露 同じく空ける彼ら重ねる
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醜さを直視するのが怖いから手鏡はまだひび割れたまま
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「愛してる」「ありがとう」また妻に言うALSの奇跡はまだか
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あてもなく彷徨さまよい歩く夜の道 暗がりに融ける我が心身
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初恋に再会したらもう不倫指切りをした頃は昔で
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一日の弱音誰にも言い出せずトイレに吐けば吐いたで詰まる
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銀行辞めて脱サラをする決心に女房が泣いたから定年
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告げられず いつもいただく ミント味 こっそり願う 次はミルクで
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銀色を水面に写す猫柳 僕を誘う春へ春へと
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君の待つ春の便りか遠近おちこちに氷割る音聞こえ来る午後
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ねこはチョコたべられないから ちゅーるさん 明日を楽しみに待っておいでよ
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暮れ残る空に寺院の鐘ひとつ 塔の上にて三日月の笑む
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「そうですね」うなずきながらまた死んだわたしのなかのちいさなわたし
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赤いチョコ余ってるからシャアザクの型に流して気分は彗星
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男でもお菓子作るよ ジェンダーとかなしに単に遊びたいだけ
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夏のきみに花火の色を知らされていまはベテルギウスの赤色
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去年から無人のホームこの場所を出るためにあと二年は通う
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連名で渡す義理チョコ抜けられぬ むしろそっちの義理のチョコなり
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現実を忘れるための劇場の幕が上がらず まだ現実のまま
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禁断の夕飯前のラムレーズン 濃ゆさ甘さに私ほどける
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とんかつにかぶりついたおばあちゃん 「これが私のクレ5-56」
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君だけを 愛すと言った でもそれを 時の流れが 許さなかった
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