三十一のふるいを抜けた言葉 強い想いかふるいの粗さか
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アイブロウ引くことすらも億劫な朝は全てが面倒な朝
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炊きたてで釜から湯が立つ白米の香りをずっと嗅いでいたい
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ビニールの蝙蝠傘を水平に 持つ想像力のない人間にはなるな
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君の名は ちゅ~るじゃないでしょ あげるけど 耳がそばだつ 魔法の言葉
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「死にたいと思う気持ちを踏み台にすれば未来へ届くのですか?」
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いつもより1日早い週末を 人の浮かれで知った終電
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眉下を剃りあげてくれるおばちゃんも床屋を出れば誰かの母で
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トニックを力一杯拭き上げる店主無口だいつもの床屋
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あえて言うことで引かれる境界にわたしときみは浮き彫りになる
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この街のかつての栄華を知っているシャッター街であくびする猫
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もしかしてマッサージチェアいりませんか近所のママにお下がり強要
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地をたたく 雨に追われて 軒先を 借りればすでに 晴れを待つ猫
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もみ合いの湯気立ち上る「難追殿」裸男の汗しぶき舞う
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食って寝て、また食って寝て食って寝て、冬眠腹空きを覚えず
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幸せは目に見えないと言うけれど つないだこの手たしかなカタチ
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責めている君の心に少しでも 明るい声を聞かせてあげたい
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印刷を拡大しては点描画 月にも海があるのだという
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きび団子 ひとつわたしに くださいな 尻尾ぶんぶん 頭を撫でて
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すてるのは 苦手なんだよ むかしから 物持ちいいんだ だから、ごめんね
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街路樹に風で倒れた水仙が並ぶ如月春はすぐそこ
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慣れぬ朝 慌ただしさにすでに果て まだ倒れまいと靴紐結ぶ
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夜がもう知らないうちにやってくる 明日は満月パレードがある
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猫の日も 残業ありて 遅くなり さぞ待ちかねる 我が家のたち
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興味ねえ〜 きみの彼氏のことなんて ましてや指輪のいきさつなんて
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道端の名も知らぬ花露濡れて 傘かざし雨宿りさす
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垂れ下がる嵐の牙が穿つのは青いクルミとかりんだけでいい
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ぼくも今トトロに出てる男の子みたいに傘を君に差し出す
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狭隘きょうあいで豊かなはざまテンソルが見落とし消えたコンテクストは
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実家にもオヤツを持って帰ります タヌ猫がいて 写真の長女猫あのこ
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