この雨は 涙 隠すに 丁度ちょうど良し 頬 打つ雫 くき春雨
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霧雨を浴びて歩けば地のたまに吸ひ付く音の響く地底へ
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探してて目の前にあるそのコップ見えない理由思い込みかな
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わたしが買ったどの本もわたしより百年以上先まで生きる
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六歳の 我が成長を 見守りて 鳴らなくなりぬ 豆椅子の笛
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雨の匂い ペトリコールの匂いらし 「石のエッセンス」とAI教え(私も好きです)
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雨の日の都会の空気何となく清しい匂い私は好きだ
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見て見てと大口開けて肉食べるそんな貴女あなたと嬉しひと時
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一輪の花であっても堂々と自分を誇る姿気高し
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何故よりも何があったと問う方が残すことなく振り返られる
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海になる花韮の花一面の間引けば哀し風のささめく
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寝汗かく 春眠どころか真夏日に 老いたる身体悲鳴を上げる 
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電気釜に炊き置きされし飯もへり妻の「帰る」とのメールうれしや
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ものわすれ どこか響きのやさしくて こころの霧へ はじめの一歩
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世の中に味方する人いないのに父母からも責められている
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愛犬の不調に生きた心地せず ただ長生きを切に願って
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太り過ぎ 体育座りも できないの? 悔しくて夜 膝を抱える
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愛と恋 違いを問われ でまかせに 恋はドキドキ 愛はふわふわ
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休みの日 天気予報を いつもより 気にしてるから 雨が多いの? 
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生きような夫と妻が父と母になり夫と妻になるまで
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雨粒で頬を濡らしてくれたのは故意か過失か言えよかみさま
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のこぎりを上手く使える箱と遭い一目惚れしたマイターボックス
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『そう言えば』を正しい言葉を喋るよう堂々と言う『総入れ歯』
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ホカホカと 太陽浴びる猫ちゃんよ あなたはずっと輝いている
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羨みにかまけて研鑽怠った 指を噛めどもやまない嫉妬 
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孫娘 お祝いするぞ 成人の 君は一歳 我はじき古希
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アイラインに沿わないやさしい笑いじわ あなたはわたしの宗教でした
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だいぼーじゅ!孫の言う大丈夫、君の魔法で、じいじ大丈夫!みんな大丈夫!
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幾日か前は花咲く並木道今日歩いたらもう初夏っぽい
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さよならを言わせてほしい人生の最期くらいはあなたの隣で
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