この街で生きてみたくて諦めた花の香りも忘れそうです
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穴のある レンコンのように 生きれれば 満たされなくても ありのままなら
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薄明りに後朝らしき幸福を 背表紙だって背中のひとつ
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ゲシュタルト崩壊済の恋なので再認識に時間がかかる
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目が見える詩人は愛を盲目と 見えぬ詩人は光といった
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折れた歯を崇める国があるのです すこし乾いた街が首都です
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命ごと 焼き尽くされるの知っていて 僕はあの人に 会いに行けるか
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あの夏の傷みにそぉっとハンカチを押しあてたってあふれるナミダ
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サイダーを心に注いだ君の手が 僕の首筋触れている真昼
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昼空ひるぞらあおゆりくろ宵闇よひやみうつろふ最中さなか紅染にほゆふかも
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向日葵がいつの間にやら消えていて夏が終わるのだって分かった
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立ちどまり振り向く不意を駆けていく自転車の音を聞き終える夜
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鍵回す向きも忘れてしまうほど疲れてるので今日は寝ますね
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夕焼けが優しく僕を貫いて 今日から君を見つめられない
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膝にのる老猫あくびをして去れり 気付けば肉球ふよふよとなり
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いちめんの人形の血を乾かして冬に還れぬ北風はゆく
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目の動き 気にかかるのは 台風と 我が家牛耳る 鬼嫁の目だ
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動けない 好きなあなたが 目の前で 私のことを ジッと見ている
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はらわたが煮えくり返る感覚をじわじわ味わう 体に毒ね
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通学路トボトボ歩く児童らのマスクの顔に玉の汗ひかる
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闘いに踏み潰される外側の内をちいさく積んでいくのです
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同じこと呟いたのに何故ぼくはいいねが0で彼は万なの
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立ち向かう気になれるよう現実を編集できる権利ください
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練炭と七輪、それにチャッカマン買ってこの世に別れ告げたい
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悲しみを 痛みを洗い流すため? 「いや別に君が嫌いなだけ」
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僕たちが 歌しか歌えないことを ばれないように歌い続ける
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優しいね でもごめんなさい 僕たちは 地獄を生きてくことしかできない
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馬鹿話 共感 悪ノリ 遠のく自粛 会いたさ募る恋よりずっと
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よく見れば 大事なものが多すぎる まずは片して、「さよなら」書くか
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空洞で増幅された悲しみが我知らずわんわん泣いている
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