Utakata
登録
Login
猫谷しゅう
フォロー
46
フォロワー
54
投稿数
173
帆立みく 、桃香でもあります。よろしくお願いいたします。
1
2
3
4
5
…
次 ›
最後 »
ぼくにある荒野が月に照らされてすこし整う秋の夜道に
11
街じゅうの人を私のモブにして涼やかに鳴るあたらしい靴
11
雨の日の良さをかぞえる少しだけ苦手な人を薄めるように
15
たましいが付いてくるのを少し待つ高層に着くエレベーターで
12
さまざまな港を船が寄るように猫が日陰をめぐる真夏日
18
水切りで回復をする花ぼくも過去を忘れて生きながらえる
10
降る雨といっしょに傘の水玉も抜け出しそうな午後休の街
11
木漏れ日の模様になってすこしだけおなじ種族になる犬とぼく
10
あたらしい町でわたしの続編に気の合いそうなカフェをみつける
15
多幸感あがるビールの一口目ぼくの明日をチューニングする
10
相槌と愛想笑いを会得して法事ではやや植物になる
10
さみしさが周波数あわせるように溺れるほどの夜の静けさ
10
誰にでもまだ生きやすい世界ではなくて卵を持つように訊く
9
とりどりの油彩で花を足すようにランドセル群れゆく通学路
10
春風が撫でたところが泡立ってゆくように花ひらく白梅
13
絶滅をゆるくしながら人類の不和は尽きない賑わうテレビ
11
沈黙に目隠しをするようにやや音量あげて聴くカーラジオ
11
この先の未来のどこか予約するように見初めて買うワンピース
9
苔のむす森深くまで分け入った心地でひらく古書店のドア
16
さみしさは歪なかたち自分でもわからないのに猫が収まる
17
なつかしい夕日のような声がまだ鼓膜にあってふとあたたまる
12
冬なのに暦を越えた晴れぼくのどこかうっかり咲きそうになる
9
人よりも劣るところを伸びしろと言い換え今日の月があかるい
41
憧れにふいに襲われ文豪のような眼鏡を試す夕暮れ
12
いつだって君の味方という目して犬はわたしの砦になった
17
焼きたてのクロワッサンを食べるよう音弾ませて霜をふむ朝
20
しあわせと美味しいはほぼ同義語でついつい落ちるカロリーの罠
9
灯台が夜に亀裂を走らせて光る地上のポラリスとして
10
便箋にひと文字目書く心地して踏み出す朝のいちめんの雪
16
図書館の細胞を取り戻すよう返却本を手にして司書は
16
1
2
3
4
5
…
次 ›
最後 »