猫谷しゅう
45
53
投稿数
173

帆立みく 、桃香でもあります。よろしくお願いいたします。

ぼくにある荒野が月に照らされてすこし整う秋の夜道に
13
街じゅうの人を私のモブにして涼やかに鳴るあたらしい靴
13
雨の日の良さをかぞえる少しだけ苦手な人を薄めるように
15
たましいが付いてくるのを少し待つ高層に着くエレベーターで
14
さまざまな港を船が寄るように猫が日陰をめぐる真夏日
19
水切りで回復をする花ぼくも過去を忘れて生きながらえる
12
降る雨といっしょに傘の水玉も抜け出しそうな午後休の街
11
木漏れ日の模様になってすこしだけおなじ種族になる犬とぼく
10
あたらしい町でわたしの続編に気の合いそうなカフェをみつける
17
多幸感あがるビールの一口目ぼくの明日をチューニングする
10
相槌と愛想笑いを会得して法事ではやや植物になる
10
さみしさが周波数あわせるように溺れるほどの夜の静けさ
11
誰にでもまだ生きやすい世界ではなくて卵を持つように訊く
9
とりどりの油彩で花を足すようにランドセル群れゆく通学路
11
春風が撫でたところが泡立ってゆくように花ひらく白梅
13
絶滅をゆるくしながら人類の不和は尽きない賑わうテレビ
12
沈黙に目隠しをするようにやや音量あげて聴くカーラジオ
12
この先の未来のどこか予約するように見初めて買うワンピース
9
苔のむす森深くまで分け入った心地でひらく古書店のドア
16
さみしさは歪なかたち自分でもわからないのに猫が収まる
18
なつかしい夕日のような声がまだ鼓膜にあってふとあたたまる
13
冬なのに暦を越えた晴れぼくのどこかうっかり咲きそうになる
9
人よりも劣るところを伸びしろと言い換え今日の月があかるい
42
憧れにふいに襲われ文豪のような眼鏡を試す夕暮れ
12
いつだって君の味方という目して犬はわたしの砦になった
18
焼きたてのクロワッサンを食べるよう音弾ませて霜をふむ朝
21
しあわせと美味しいはほぼ同義語でついつい落ちるカロリーの罠
9
灯台が夜に亀裂を走らせて光る地上のポラリスとして
11
便箋にひと文字目書く心地して踏み出す朝のいちめんの雪
17
図書館の細胞を取り戻すよう返却本を手にして司書は
17