猫谷しゅう
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帆立みく 、桃香でもあります。よろしくお願いいたします。

清廉なメトロノームもたましいのビートで狂いたいときがある
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淋しさの治癒を促すかさぶた瘡蓋のように寝るとき猫が貼り付く
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どうだっていい日はなくて硬くなる感情もよく湯船でほぐす
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沿線にコスモスの群れ揺れていて天国へ行くみたいに列車
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蝋燭の火を手のひらで守るよう君の名を呼ぶ「おやすみ」のあと
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試さない何通りかの気晴らしを考えて気晴らしをしている
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さみしさが泡立つ夜をていねいに洗うみたいに秋雨が降る
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QRコード作ってゆくように競ってオセロの勝負はすすむ
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背表紙を順に眺めて神さまがこれとささやく図書館の凪
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感動は不意打ちだったりするものでフォルテッシモの夕陽を見てる
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秋が産む稲穂の波へ畦道はモーゼが通るようにのびゆく
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過ぎてゆく夏の墓標として麦茶ボトルは減らず静かに冷える
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夕暮れと夜の境を通知するような一番星の哀愁
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ブローチのように麦わら帽子へとトンボあなたを風景にして
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教会へ差し込むひかり穏やかな虹を編みゆくステンドグラス
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山頂に光り疲れた星もひと休みするよう置かれてる椅子
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きらきらと波間へと射す太陽の点描が心を焦がす夏
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胎児へと還すみたいに猫を抱く足りないものを補うように
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おはようを淡く重ねて輪郭をつくる君との絵はまだ素描
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風も木も自然はすべて感情の器になった詩人の瞳には
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春雨のやさしい牢に囚われてより鮮やかだ本の景色は
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横道に逸れた話は広がっていつしか波紋だらけの水面
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待ち人に手を振るように柔らかく橋に結ばれているストール
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休日の朝を調律するように珈琲豆をていねいに挽く
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雨だから傘さすように淋しいと僕を思ってほしいとおもう
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レコードがのどかに回る地球からすれば私もわずかなノイズ
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静けさが響く図書館その中に気の合う本の鼓動をさがす
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両脇に花の並んだ庭をゆく猫のランウェイ見届けて 春
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蛹から抜け出たような朝にいて珈琲を飲むはじめての町
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陽だまりに浸かりすぎたと猫がやや春の死角でひと休みする
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