Utakata
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猫谷しゅう
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帆立みく 、桃香でもあります。よろしくお願いいたします。
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蛹から抜け出たような朝にいて珈琲を飲むはじめての町
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陽だまりに浸かりすぎたと猫がやや春の死角でひと休みする
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装丁に惹かれた本を紐解いてゆくよう君を知るこの日々は
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寄せて引く波打ち際がかろやかなフレアスカートめく春のうみ
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ここからが春だと澄んだ晴れ空に飛行機雲が境界を引く
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回遊魚みたいに過ごす少女らは渋谷の街を水槽にして
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たましいを吹き込むように画家は絵の瞳にひかり一粒のせた
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あどけない雪のひとひらひとひらが結ばれ冬の編み図はすすむ
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夕焼けと夜の抱擁みとどけて一番星はつよくなりゆく
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とりどりの落ち葉を敷きつめて秋のパッチワークをつくる公園
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語りかけられた気のする本を手にとる沈黙が憩う図書館
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この部屋はぼくの楽園ぼくだけが知るバランスで保たれている
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花柄の布団カバーの野にダイブしてまだ遠い春にまどろむ
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今生の別れのような顔で朝見送りをするポチのルーティン
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星空のひかり遮る東京は明るく夜に逆らっている
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奥へゆくほどに濃くなる古書店の匂いに本の樹海を惑う
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静けさの結界いっしゅん解くように咳払いする展示室B
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なおらない寝癖を冴えたアンテナにして聞く弾む秋の足音
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ぼくたちの出番だ空でほのぼのと秋の行進するひつじ雲
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失ったひかりと共に名を変えて月は見えなくなったって月
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厳正な審査の結果この恋は真空パック保存に決まる
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ユザワヤでギンガムチェックの生地を手にとって想像する未来形
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秋が来てみどりは褪せてゆき木々が紅や
黄金
(
こがね
)
に礼装をする
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鈴虫の歌にあわせて秋風を揺らす尻尾で指揮をする猫
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忍びよる秋に誘惑されるまま橙色のストールを巻く
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路線図にぽっかり浮かぶ満月をせわしくなぞりゆく
山手線
(
やまてせん
)
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いちはやく秋を宣伝して香る金木犀をはしごする帰路
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吹く風の秋の濃度が増してゆき急によそよそしくなる麦茶
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かくれんぼしてる子供に見つかってしまった秋が目配せをする
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