Utakata
登録
Login
猫谷しゅう
フォロー
46
フォロワー
54
投稿数
173
帆立みく 、桃香でもあります。よろしくお願いいたします。
« 最初
‹ 前
1
2
3
4
5
6
次 ›
最後 »
もう君の匂いも消えたこの部屋は墨絵のようで花を買い足す
9
イヤホンをとつぜん外されるように夏を証明する蝉時雨
7
しあわせをあきらめないで生きてゆくビールグラスもちゃんと冷やして
24
感情が想定内をはみ出して気づいてしまう好きの領域
7
放たれて月に遠吠えするようなクレーンたちの工場夜景
22
獏が食べ残した夢の断片をパズルのように当てはめる朝
12
居間にあるバリの土産でいただいたお面がずっと他人行儀だ
6
降り出した雨があたって街じゅうをパーカッションにしてゆく夜更け
11
ていねいに型紙をとるよう暮らす身の丈に合う凪をもとめて
8
さみしさを磁石のように吸い寄せる夜によく合う詩集をひらく
9
平素よりお世話になっておりますという目で猫がねだるおかわり
13
それぞれがつくる時空のシェルターに籠るみたいに過ごす図書館
24
大輪のダリアみたいに笑い合うカフェをかつての放課後にして
14
知恵の輪が解けるときにはあっけない無いとおもっていた次の恋
8
深い霧立ち込めている道になる恋と認めたすぐその先は
6
休日に何してるのか折り紙にかるく折り目をつけるよう訊く
12
感情をおぼえたように藤が揺れきみと出会ったあの日をおもう
9
夜に吸い込まれそうな日 会うきみを北極星とおもって歩く
6
ただ飾る言葉にたぶん正解がなくてふたりで見ている夕日
10
やさしさに包まれてたい唇に触れるよう降る春雨の野辺
5
乾く喉うるおすように静けさへゆっくり脳を浸す図書館
6
あれはゾウこれは鯨と子が雲に名付けひとときできる楽園
9
雨粒のひとつひとつがハート型してるみたいだ相合傘は
9
休日にミルを回せば羅針盤めくうららかな朝の珈琲
8
全身を感覚にして前に立つそんな心地の抽象画展
8
花びらがひとつ舞い込み時を止めているみたいな古書店に春
8
思い出は濃くなるでしょういつか死をじっと見つめる獣になって
6
乗客のすべてが降りて終バスは夜の棺となり眠る町
9
煌めきに花野をおもう蜂蜜の光りを舐めた人から春へ
4
ぎこちなく色をあなたと足してゆく日々はパレット絵を描くまえの
13
« 最初
‹ 前
1
2
3
4
5
6
次 ›
最後 »