Utakata
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猫谷しゅう
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帆立みく 、桃香でもあります。よろしくお願いいたします。
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はなやかな陽ざしに春の糸口を見つけすべてがひかりだす朝
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人肌に悲しみひとつ馴染ませて紅茶を淹れる春はすぐそこ
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いい人の鎧を剥がす銀色の雨さみしさがほのあたたかい
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春が来る夢の浅瀬をゆくように心へ香る蝋梅の道
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対岸のホームに分かれ強力な磁石のように僕ら手を振る
8
お互いの理想で出来た中庭を見せ合うように花を選んだ
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どこからが空か答えを探すよう好きな理由がないままの好き
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帰路すこし聴きながらゆく傘の肌あたる雨粒たちのショパンを
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雪原を割けば春だと足跡で切り取り線をつける野うさぎ
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春風が吹いた狼煙にするために桜色したストールを買う
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読むぼくを労うように伏線が回収される推理小説
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モノクロの写真に在りし色彩を見る祖母の目に広がる花野
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風になる犬と駆け出す少しだけ浮力を授けられた心地で
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悲しみが沈むまで待つ上澄みの水面へとまたひかり差すよう
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さみしさに杭
(
くい
)
打つような雨わたしきっとあなたの知らない顔だ
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吹き出しのように紅茶の湯気のぼり無言で冬を語る雪空
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遊園地その賑わいのゼンマイを巻くようまわる回転木馬
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舞う蝶とおだやかに戯れるようイチョウ並木を老犬とゆく
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さよならが笑い話になる日までワインを寝かすよう胸に抱く
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しゃぼん玉その飛び方でなんとなく分かってしまう風の表情
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心にも怠けてしまう筋肉はあってなかなか好きが言えない
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港へと寄るごと栞挟みつつゆっくり本の航路をすすむ
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丁字路でどちらにするか幸運が匂う気のする方ゆく散歩
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晩鐘の絵を描いている秋風に揺れる窓辺のカーテンを描き
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ほっとする「あったか〜い」の缶たちはきっと魂くらいの温度
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普段から温存してたやる気みな衣替えして使ってしまう
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清廉なメトロノームもたましいのビートで狂いたいときがある
4
淋しさの治癒を促す
(
かさぶた
)
瘡蓋のように寝るとき猫が貼り付く
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どうだっていい日はなくて硬くなる感情もよく湯船でほぐす
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沿線にコスモスの群れ揺れていて天国へ行くみたいに列車
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