出世して 別人になった 我が上司 哀しいけれど これが人間
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大部屋の畳は音をよく吸ってぼくの布団は夜の中心
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眼鏡屋の退店の時お見送り本当にそれ必要なのか
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授業後の待ち合わせ場所現れていい匂いだと君が褒める
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吊り革の移り変わりを楽しんで丸から三角次はどうなる
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バスめぐり懐かしいなと目をやるとそこに在るのはかつての住処すみか
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うつつ区別のつかぬ幸せをめがけて私は夢に飛び込む
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目を閉じる微かに聞こえる衣擦れの音を見るとそこには君が
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歌を詠み読めない漢字にルビを振る少しでも頭がよくなるように
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一日の家事終えたあと 刺し子布巾縫いて心を整えて居り
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ホイッスルピーッと鳴らす駅員の見送る背筋ピンと伸びて
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伸びた爪いつかのネイルを思い出すあの日から私変われてないね
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芳醇や玉ねぎ焦がすバターの 宅地の路にお裾分けかな
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準備をし音楽に乗って安楽へさあ飛び立とう大きな空へ
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寂しさを誰かのパパが作ってるシュークリームで埋めてから寝る
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つたなくも うたに乗せたる 我が想ひ 天まで届け 祈りと共に
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肺雑のラ音の先に私いや貴方が私を通して聴く
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果てしなく 続く廊下が怖かった なにも知らない幼きわたし
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嫌だとは 自分のために言わないで 被害者づらで着せる罪状
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この夜を溶かしたインク詰め込んで手紙を書くよ彼岸の君へ
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おもひては 千重ちへくに差しめど むすべぬことを知りて差し
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堂々と している恋も 日陰のも 短歌にすると 同じ恋愛
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いつもなら 一人で歩く この道で 隣に君が 歩く幸せ
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熱もなく電話待ってる駐車場 いつまで続くリモート診断
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「大丈夫 一緒に行って あげるから」 ほんとは僕が守りたいのに
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「この赤とひと休みしよ」囁いたあなたの首、もう日に焼けている
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「もう青に追いつけないね」信号に微笑むきみへ夏風よ吹け
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ODもリストカットも世間での「自分らしさ」の輪には入れず
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信号をきちんと守る人だからぼくの一部をきみに委ねた
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この命期限の切符が切られたら 私は迷わず貴方あなたを探す
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