世界一まずしい首相あらわれや れきしに光る 予言者のいう
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かたくなに神のみちびきことわるも すさぶこころに聖歌のしみる
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買えば済むそんな玩具ヤツなら良かったなぁ仕込み大変工作の夜
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時間ごときっちり並んだスケジュール 木っ端微塵にしたミサイルよ
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忙殺を想定していた今日の日に 想定外の薔薇の花束
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じっとして黙っていたい時もある 座った床の温みと共に
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三人の高齢家族なりたれば 話題は昭和のあるある話
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引き出しにしまったはずのあの日には 海の波音夕陽の匂い
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旧道や蔦に埋もれる待合所旗振る見送りそして通知
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静けさが私を包んでくれるならお礼にあげよう涙のダイヤ
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嫌いなのはあなたではない 僕のくせ僕の性格僕の鼻
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休日に 片付け仕事持ち帰る やる気起きずに ネットで遊ぶ
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ヤフー天気 今夜日の入りはモミの木で 明日の日の出からツリーの絵になり
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真夜中に手から滑って落ちてった コップとミルクふと切れる糸
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冬花火 月にすわって見下ろして僕とあなたで雪を降らそう
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息子キミの笑顔を見るたびに貴方あなたを忘れないとと思ってしまう
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これからは愛だけのために生きるのでねこを抱きしめたくさん寝ます
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かいがらを透明な水がさらってゆく砂に埋もれてそれからまたね/熱海
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五七五七七全部「あ」で埋めていいよあなたの言葉なのなら
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完璧な私でなくていいんだと あなたの隣りにいられることで
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流体となりゆく文字のひとつぶの銀色の砂がことばになった
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パインアメわかっていつつ吹いてみる愚かしさごと愛してほしい
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くだものをすみにあつめて寄せてゆくきみのとなりで洋梨を剥く
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夏空のもゆる江ノ島電鉄と赤い水面とスパイスカレー
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理不尽なことを言ってる先輩に頷く自分をどう否定する
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思い出のたからものばこに入れたのでお手紙いつか読んでください/ブルースカイに寄す
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染色体ひとつちがえばあわれみをむけられるだけの透明な性
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ひととせの春の記憶をクッキーの箱に詰めたらとわのさよなら/青春
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先頭でランジェリーしたぎ売り場を横切ってく彼の背中をそっと見送る
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なまで聴くバイオリンの初めてで 「綺麗!」の声が音符になってく
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