夕空へ向け跳ばす 片方の靴 天気占う 幼き友と
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気弱な心見抜きし高貴な君 親指へ一筋棘立てられて
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つらくて、つらくて、つらくて、駆け込んだ知らない路線の座席の緑
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「母さん!風呂におっきな草が入っとる!」  端午の節句幼き日の思い出
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ながの旅 季節を超えて 帰り行く うちのみかんは 咲いているやも
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5歳児がちまき抱えてズンズンと薫風とゆく横断歩道
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恋人の遺したビデオとお手紙と払い切れない延滞金と
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いつまでもお前は私の子だよとか親は私を甘やかしてる
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夜に鳴く「ひーひー」の鳥ならトラツグミ? 鵺の正体これなりと聞く(のののさん、太田さん)
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鯉のぼり絶滅危惧魚ほぼ見ないバッサバサいう音も聞きたし
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幼き日 亡父ちちと入った菖蒲風呂 根の香を嗅いで葉笛を鳴らし
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菖蒲の湯 鮮緑の葉の根元には 薄紅色と幽かな香り
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傾いた陽透かし若葉火のように光り輝く誇るが如く
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空いている五月五日の道と店今頃皆はどこで何して
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廃校の桜のもとを訪れた眠りをさそう春の静寂
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ネモヒラは地平の果てまで淡く咲き蒼き海へと溶けて重なる
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ああせわしおでこにメガネ顎マスク探しまわりて一日ひとひが暮れる
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見渡せば木立の中の木漏れ日に白きシャツ着た在りし日の夫キミ
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リボン付き華やかサンダル レースソックス 1日くらいは姫の気分で
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ゆふいんで買ってもらった シルバーの 猫ネックレスなど用意するべし(新婚旅行の時のん)
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「まずは、ありがとう」震えるきみを見て気づいたぼくは加害者だった
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スイーツ好きな訳じゃないあの色とりどりの奇跡が何も残らなくなる切なさが好き
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どの恋も全うせずに散らしたの散ってゆくのがこわかったから
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昼寝して 日付変わった気になって 一日(ひとひ)に二日分ビール飲む
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鵯が卑しいのでなく その声を漢字の音に当てはめただけ
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ぬゑの声 火ーとあるいは死-と聞き 自然の畏怖を胃の腑に落とす
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アヴォカドの種をうずめて幾年か 花が咲いたらレモンの花だ
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立夏の強風かぜ「鯉のぼり逃走にご注意」と どうすりゃいいの 気象予報士さん>天気情報みて噴いた(笑)
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初夏の日ざしは恋の予感にてはるかに見ゆる人妻のひと
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息子の子我に似てると告げられてちょっと嬉しい我に気がつく
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