子とすごす当たり前こそ有り難くもう死語となる「家族サービス」
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兄たちが食べると云つた昼食に悩んで合わす同じ回転ずしチェーン
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意に沿わぬ巡る順番提示せばチョコバナナ買う取引ディールをだされ
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忖度をしないと決めた下の子はグルリの森に三度も入り
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同じよな家族のあとをついてゆくこの坂の上門があるらし
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出遅れて駐車場なく回された臨時は遠くたどり着けるか
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兄映画妻付き添いの子どもの日弟とゆく桐生公園
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舞ふやうな白を支ふる紫の花びらひらひら庭の菖蒲あやめ
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振り返り振り返りして帰る道あの人がいつまで見送ってくれるのか
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わさび田の近く湧く水飲めるらし地中の清冷ボトルに満たす
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ここにいるみんな生きて電車に乗れて 普通にすごい。
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みたくないものが日に日に増えていくたとえば君の薬指とか
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ピーナッツバターを直接舐めるようなそんな雑さで死ぬまで生きる
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朝ぼらけ無意味に命を削っては夢に夢見て夢見る夜明け
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早苗田の 黄金こんじき色の水鏡 朝日を浴びてツバクラメ飛ぶ 
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初夏の茄子 煮浸しにして 薬味乗せ 届けし友の 愛情も乗せ
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村上へ藻塩を買いに彼と行くモナカどら焼き大人の遠足
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地獄には なにがあるかわかりませんね  あなたは いない でしょうけど
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あ 死にたい と思ってから あなたにラインするその速度にのせる
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三代目ぽちは 初代のぽちよりも 飯をよく食べよく遊ぶ
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不要不急 それこそだいじだったこと もうね、不要にでかけていいよ
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帰宅せば みかんの花は ほぼ散りて 気持ちはまるで 浦島太郎
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本当は 言わなきゃいけない事もっと あるはずなのに ありがとうだけ
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天井と年収の壁壊そうと女たちはフェミに武装す
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ありがちな 言葉だけしか出ないけど 君といられて幸せでした
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今頃は もう着いたかな 弾むよに 駆け抜けてって 虹の向こうに
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合法なうば捨て山と例えられ老人ホームで笑ううばたち
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家の戸を 閉ざし守ると 決めた人 窓に背を向け 中のみぞ見る
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「またいつか」 駅のホームで 手を握る 皺深き人の 別れの切なさ
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北からの 汽車を乗り継ぎ 来た友よ 綻ぶ祖母の 頬は染まり
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