晴れの日も もち好きだけど 雨音が ド・レ・ミに聞こえる 雨の日も好き
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外は雨今日は1日家籠いえごもり 部屋に広がるフローラルの香り
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どのように切り取ったなら。見たままの艶やかさこそ写し留めたし
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「どこまで?」と言う運転手 悪いけど、どこでもいいや。どこがおすすめ?
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恋慕には音も匂いもないのだと知らずにすれちがう交差点
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たどりつくことができないほんのすぐそこにあるのに順乱すもの
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東路に見るだに悲しかきつばた都を遠く隔つと思へば
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久しぶり日頃の憂さを持ち寄りて笑いに変える老い盛りなり
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吊り革がみんな並んで揺れていて 春の気配にはしゃいでをり
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飛んで火に入る珈琲と聞こえたり 確かに豆は跳んで火に煎る
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雨降りの部屋干しはまだ乾くまいなのに手を出す手直ししつつ
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雨に満たされコーヒーも牛乳で割りつつそっとクリーム拾う
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吐く息をわざと弱めて傘の中 副流煙と雨宿る朝
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うららかな水晶みたいだ葉にしたたる雫は雨に満たされて
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薄紅の花咲きかけのちいさ木をいだくがごとく白花水木
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草いきれ 雨降る春野 束の間の水浴み  光宿せる夏へ 
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引きて堰く苗代水のいかなれば過ぎゆく春をとどめかぬらむ
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ちんまりと 箱におさまり 寿命待つ 宇宙を背負しょって 生まれたはずも
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肉じゃがの旨み確かむ夕餉時冬眠開けの根菜届き
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酸欠の金魚の如き父の口にそっと当てがう“楽飲み”の先
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狛犬の 間をするりと くぐり抜け 日常からの 少しの旅へ
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どうしても 見せたいなあと 思う人 居てくれるから 頑張れるのだ
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日も伸びて ついに今年も 夏が来る 背中に羽が 生えた気がする
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太陽がヨハン・シュトラウスを響かせて水平線から私を照らす       
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憂鬱と黄砂に霞んだこの街を清めるが如雨は降りたり
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ワイドショー見るとその内アカになる昔は馬鹿になると言っが
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昼間より飲む 李白牧水ハイヤーム 旅人なども我れの酒友
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沈痛な選挙事務所のとなりには「大願成就」の酒を売る店
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死に触れて帰り道には腹が鳴る生きるというは腹が減ること
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レンジをピッ卵を焼いて子を起こし 手を貸し給え千手観音
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