雨のあと冷えた空気の降りる町どこかの子らのひそひそ話
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疲れたなソファが私を呼んでいる 回れ右してキッチンに立つ
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自らを奮い立たせる応援歌なんて存在しないから作る
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受け流しよくぼうだけを垂れ流し汗ばむ肌とため息ひとつ
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白い雲深い緑に蝉の声 ワクワクするね夏っていいな
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一年間背比べしてたサボテンが造花であった、そんな夏です。
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あとがきは 本編にはもう ならぬのだ この先はもう 何も書けない
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「明日来る?」じゃなくて「来てよ」という好きな人は何のつもりもないんだろうな
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伸ばしても ちょっと切っても変わらぬな ブローのあとは日本人形>美容院
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「たぶらかす」意味がわかっていなくてもよくないことと察する小3
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蝉の声聞いたらいつも思いだす昼のそうめんプールのにおい
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帰るなり今日の出来事話し出す三十路の娘幼子のよう
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たなびいたご縁が風になぶられて 初めて出会う私の姿
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何回もまつり直した裾丈は 対話で培う譲らなさから
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夏休み始まる前に想像す終わったときの夕暮れの雲
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一瞬で 開いて消える 人生は 夜空を照らす 打ち上げ花火
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梅雨明ける前から猛暑続いてる去年のことは思い出せぬが
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炎天を駆ける風に打ちなびく青田は梅雨の戻りを待ちぬ
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霧の中 冷たい森に 生きていく 慣れない暮らし ランプは消せない
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目を閉じる度に吸い込まれる谷は 深い青の谷 夏風邪の夜?
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薔薇一輪背の高さに開きおり夏本番の行方覗かむ
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夜遊びを責める代わりに朝食の焼けた目玉が私をにらむ
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どれ程の吐息を混ぜたら埋まるのか貴方以外でわたしの中は
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本当は聞きたいことがあるけれど聞いてしまえば終わる気がして
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「何か音鳴っているね」と三歳は初めて気づく蝉の鳴き声
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体力は水溶性であるらしい汗にプールに削り取られて
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初セミの声を聞くまでセミの声忘れていたような気がしたんだ
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早くしろ時間がないぞ遅れるぞ幼子までも生き急ぐ現代いま
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ヤニ吸って丼かき込む間にも、同期達は仲良くランチ
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快適さ求めたつけか猛暑日は人影のない午後の公園
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