「夫」とか「妻」とか呼べる人をもつ人たちの国でしたねここは
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見回せば周りがみんな既婚者で、鯱の魚影が横切ってゆく
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高慢に見えないように卑屈にも見えないように座る練習
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何故産んだ、ついに私も聞いたんだ。ただあなたに、会いたかった。
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二人とも最後になると知っていて、観光地往く「わ」か「れ」のナンバー
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海底の真白き珊瑚悲しみて真珠は落ちる 人魚の墓場
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失敗をいっぱい詰めた一杯で開けっぱなしの夜に乾杯
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置き去り横目で好きな物には蓋をして、いつのまにが迷子だね
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わかりやすい肩書が足りない分を笑顔で埋めざるを得ぬ日もある
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どこまでは話していいか脳内の発火が加速してゆく「雑談」
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ふろあがり あぁめんどくせ めんどくせ すきんけあして どらいやあだる
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りんなちゃんGPTはどうなのとおずおず聞けばいい感じらし
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願わくはどこからか君顕れて誕生日だけ祝ってほしい
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恋人の心 離れていったから 夜のアイスと東京タワー
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寝静まる我が家で 自分ひとりだけ 寝付けぬ夜に反吐が出る
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きっとだあれも分からぬと思いながらも通じる不思議
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ここにはもういないかもしれない君に。夜が明けるまではまだ行かないで
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両の手に掬えるだけの幸せじゃ満たしきれない時代の渇き 
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ひこうき雲私のおりを乗せ忘れ三つそれぞれの空へ消えた
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情報に囚われ言葉見失う 愛なき世界紡ぐのは誰
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陽だまりの屋根奪われた猫達が今日も立ち寄り宙を見つめる
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あ、そうなの そのあとひろがる沈黙が 空気を徐々に満たしていく
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春半ば 死絵しにえ描かれし 役者あり 左團次丈の 軽妙忘れじ
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目玉焼ききみのぐあいはどのへんがいいかわからずつついて漏らす
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眠すぎて頭に何も浮かばない 最後の14字詠めずに「おやすみ」
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無風の夜 鰭で泥掻く鯉幟
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困っても手近なもので危機回避なんとかなってしまう貧乏
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君の目からこぼれた光る水滴をジップロックで保存したかった
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見えないし聞こえないので見返して聞き返しては組み換えしてく
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人生の間違い探しクイズなら多分優勝できる気がする
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