性だとか煙草だとか賭博だとか 大人を気取る雛の常套
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ぬるま湯の生活抜け出し生き活きと生きるためなら辞表書かなきゃ
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弱々と子が呼ぶ声にふりむけば 代わってあげたいインフルエンザ
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深夜だしあしたはお休みそんな時わたしだったら唐揚げ揚げちゃう
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ひとりきり鯨はうたうというけれど私たちだって同じじゃないの
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一年半ぶりかな今はどうしてる きみの面影忘れた頃に
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無花粉の杉を富山で発見し植林されると朗報を聞く
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命とはなぜ大切と言うのでしょう君の大事な立場でしょうか
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花粉症ほんとに辛い税金を使って杉を全部切って欲しい
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毎日の、気が遠くなる毎日のページを開き栞を挟む
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青い春 信号待ちに少女らがステップ踏んできゃらきゃら笑う
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買い替えて置きっぱなしのスマホには過去の夫婦の思いやる文字
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河口から海底に吹く乱流をおろしと呼ぶのだろうかしゃち
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天気図をよく見て開けな恐ろしい嵐を呼ぶぞどこでもドアは
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自らの価値基準が他人ひとに左右される事のなんとむなしきか
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木星の赤い颱風より永く巨きく回れ燃ゆるひぐま
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三十一のふるいを抜けた言葉 強い想いかふるいの粗さか
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アイブロウ引くことすらも億劫な朝は全てが面倒な朝
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炊きたてで釜から湯が立つ白米の香りをずっと嗅いでいたい
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ビニールの蝙蝠傘を水平に 持つ想像力のない人間にはなるな
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君の名は ちゅ~るじゃないでしょ あげるけど 耳がそばだつ 魔法の言葉
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「死にたいと思う気持ちを踏み台にすれば未来へ届くのですか?」
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いつもより1日早い週末を 人の浮かれで知った終電
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眉下を剃りあげてくれるおばちゃんも床屋を出れば誰かの母で
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トニックを力一杯拭き上げる店主無口だいつもの床屋
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あえて言うことで引かれる境界にわたしときみは浮き彫りになる
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この街のかつての栄華を知っているシャッター街であくびする猫
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もしかしてマッサージチェアいりませんか近所のママにお下がり強要
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地をたたく 雨に追われて 軒先を 借りればすでに 晴れを待つ猫
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もみ合いの湯気立ち上る「難追殿」裸男の汗しぶき舞う
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